秋葉原「天ぷら 天忠」

 JRの駅から中央通りを北へ、曲がって蔵前通りを西に進み、昌平橋通りと交わる手前の南側にある、天ぷら屋。

 数ヶ月前から目をつけていた。が、いつも閉まっている時間にしか通りかかることができないでいた。本日、やっとのことで、店内へ入る機会がめぐってくる。

 「天丼 中」(1,300円)を頼む。「並」(800円)でもなく、「上」(1800円)でもないところに、次にいつ来れるか分からないけれども昼飯にこれ以上奮発するのもどうかなぁ……、という踏ん切りの悪さが透けて見える。

 カウンター4席、机8席の狭苦しい店内。古びたラジオから「ゆーゆー、わーぁいどー」(byTBS)が流れてくる。くすんだ雰囲気の店には、おーさわゆーりの声が良く合う。

 イカと小エビの掻き揚げ、エビ2本、ピーマン。親父が指を指して味を見たタレ鍋の中に、天ぷらを直でさっとくぐらせてから、丼の上へ。

 エビ2本がぷりぷり。衣の上から色鮮やかな緑が分かるピーマン。ごはんに蓋をするように乗っかった掻き揚げも、美味い。ほうじ茶が、油っこくなりかけた口の中を、きれいに癒してくれる。何より、タレを直接かけないことで、丼の底にタレ溜まりができず、全体にまんべんない濃さでタレが渡り、一粒も残さずたいらげられた。

 中途半端な気前の良さを自分に発揮しようとして、「中」を頼んでしまったが、800円の「並」も同じくらいの味が期待できるはず、と勝手に推測。掻き揚げからエビが抜けて、エビの1匹が魚に変わる、くらいの違いだし。



 秋葉原だなぁ、と感じたのは、カウンターの隅に積んであった「あきば通」http://akiba.sakura.ne.jp/akibatv/modules/tinyd0/の山。原色の多いペーパーが、まったく店内の雰囲気に会わず、浮き上がっていた。というか、ここの親父は、この冊子のターゲットとするところを絶対、理解しないで頼まれたから置いてる。片面の半分を使った「秋葉原はらぺこMAP」は269店舗の位置が分かり、なかなか使えるかもしれない。