id:bulletはコミックGUMBOを応援しません。マンガ雑誌としては。


ティアマガ82の「編集王に訊く」は、元bk1でコミックGUMBO副編の斎藤宣彦氏。1月に創刊され、10月からいよいよ単行本が発売され始めたGUMBOの現状と目標を聞いている。さて、赤字経営を脱することが出来そうなのだろうか。

週刊連載は作家さんも生活そのものを賭ける必要があるので、連載を受けてもらえる作家さんは限られてくる。また、創刊誌はベテランほど敬遠されやすいんですね。休刊した場合、責任が看板作家に行ってしまうから。

ただし、江川達也は「面白い。自分は週刊誌のペースに合ってるので、ぜひ参加したい」と賛同してくれたそう。知名度は抜群だし、サイン会も引き受けてくれたよう。広告誌の広告塔として活き活き活躍。

ただ、資金的にはあらかじめ1年以上は続けられる目処があったんです。たとえ広告収入が0円でも、制作費や人件費の固定の経費をまかなえるだけの資本金が準備できていた。

資本準備金は3億6,200万円。多分、毎号の赤字で、ざっくり1億円近く減ってるとは思うけど。

創刊までは編集者というよりは編集ディレクターみたいな形で、中身にはほとんどタッチせず、雑誌全体の作り方、宣伝の仕方をディレクションしていく感じでした。

創刊当初のラインナップは甲斐社長兼編集長の色が濃かったと考えていいのかな。

創刊時から、連載を中心に「きちんとした人間ドラマを描きたい」という社長兼編集長の方針がありました。具体的には『モーニング』(講談社)や『ビッグコミックスペリオール』(小学館)のような青年誌をモデルに、20〜40代のサラリーマン読者を想定して広告や配布方法も発想しました。毎号10万部発行で、配布時間や男女比・年齢構成などのデータは配布をアウトソーシングしている会社から報告を受けています。女性読者も意外に多くて2割強くらいです。

でも、申し訳ないが「きちんとした人間ドラマ」を目指しているらしき作品ほど、現状ではつまらない。「信長」とか「ちどり」とか。つまらないというか、じゅっぱひとからげ。モーニングにスペリオールって、大きくでたなぁ。例えば同じ新創刊組みで隔週発売の「チャージ」は、あれが無料だったら感嘆のレベルだけど、290円とか300円ちょいとか出せる出来では。2割もいる女性読者がナゾ。本屋やコンビニでマンガ誌を買いにくい層なんだろうか。それでもモーニングは女性読者比率かなり高いはずだけど。

誰にでも持っていってもらうために、全方位外交でいろんなジャンルの作品を載せているのも『ガンボ』の特徴です。普通のマンガ雑誌だと、パチスロ誌や麻雀誌のように専門ジャンル誌として成立している作品は載りにくいのですが、麻雀マンガが1本載ってると、麻雀雑誌そのものは買わなくても、そのマンガだけは読み続けてくれる人がいるという考え方なんですね。

これは理解できる。ただ、繰り返しになるが、ジャンル誌が掲載するピンからキリまでの十数作品のキリ方向の作品が集まったような誌面だと。

私は今、副編集長として、全部のマンガを見ています。新連載を立ち上げる時は特に丁寧に一緒に打ち合わせをします。最近始まった連載は、創刊時から半年ぐらい準備してやっとスタートしました。

「ゲーセンあらし」とか、そうなんだろうか。

(村上もとかの旧作「クライマー列伝」を再録連載したことについて)
でも「『ガンボ』の人間ドラマの水準はここにあるぞ。人の生死に関わるようなドラマなら極限まで描くことにチャレンジする」というところにこだわりたかったんです。すごく高いハードルなんですけど、それは志みたいなものですよね。

自前で立ち上げたんでない、再録作品に志を託されてもなぁ……。

広告に関しては苦戦しています。

これまで長い間、マンガ雑誌に広告の枠がほとんどなかったので、広告代理店にもマンガ雑誌向けの広告を入れる営業も部署もないんです。クライアントも「ウチは広告代理店におまかせなので、直接のやり取りはしませんよ」という会社が多い。だから新規開拓のルートを作ることから難しい。

「広告代理店におまかせ」してるようなある程度の規模の企業からは、媒体として有望視してもらえていないのか。だから、代理店とか使ってなさそうな(使うほどの体力がない)ちょっとアレな会社の広告が目立つのか。最近、TOHATOの広告も見なくなったし。コスミック・ジャパンにマージン払うより、自前の営業を強化しよう。

私が仕事と無関係な立場で『ガンボ』をもらったとしたら、全体の1/4くらい広告タイアップでも全然怒らないと思うんですよ。

別に1/4と言わず1/2でも2/3でもいいけど。今週号の「ちどり」のチョーヤ梅酒タイアップのような、流し読みでも引くようなヨイショマンガでなければ。もしくは「トーキョー博物誌」の一巻とか都の推薦図書にしてもらってもいいよね。あと、タイアップすると雑誌掲載時は広告効果があっても単行本になると売れ行きが鈍りそうだから、一長一短っぽい。

(資本参加する日本テレビについて)
『ガンボ』掲載作品の映像化に関して優先権をもっています。共同での作品製作も進行中で、すでにTV番組とタイアップした読切も掲載されました。

日テレとの提携はなんとも。転ぶも八卦、転ばないも八卦

この10月から単行本が発売され、取次会社を通して全国流通になるので、ここからが勝負の時だと思います。

そうですね(fromスタジオアルタ)。

今の『ガンボ』はストイックと言ってもいいくらい純粋な青年マンガ雑誌ですが、フリーマガジンとしてはもっといろんな可能性や選択肢もあったと思うんです。オール読切みたいな作り方もあるし、もっとコラムを増やしたり、ファミリー向けの方向だってあるでしょう。そういう選択肢を捨ててしまっているのはちょっともったいないなあ、とも思う。

ストイックかどうかは異論反論ありそうだが、マンガ誌の体裁にこだわることと無料配布広告誌として雑誌ベースの黒字化を達成することのどちらを優先するかとなったら、収益改善の方面からもっと着手すべきことがあるんではないか、という考えなのだろうか。多分、黒字化に近づくほどわざわざ手にするのが億劫な誌面になっていくんだろうなとは思う。思うけど、広告モデルとしてのGUMBOの将来のほうが気になるし見たいので、それはそれでアリ。



「トーキョー博物誌」と「STAGE GIRLS」と「人間噂八百」の3本を掲載し続けてくれれば、それで。



トーキョー博物誌 1―やすらぎの動植物観察ナビ (ガンボコミックス 10)

トーキョー博物誌 1―やすらぎの動植物観察ナビ (ガンボコミックス 10)

Stage Girls (1) (ガンボコミックス)

Stage Girls (1) (ガンボコミックス)