ガンボ休刊に触れて。

2007/12/11
読者の皆様へ『コミック・ガンボ』編集部からの重要なお知らせ

諸般の事情により「コミック・ガンボ」は第48号(12月11日号)をもちまして休刊いたします。
読者の皆様をはじめとして、多くの関係者にご迷惑をおかけいたしますこと、心よりお詫び申し上げます。創刊以来約1年と短い期間ではありましたが、ご愛読いただき誠にありがとうございました。
コミック・ガンボ」を応援いただいた皆様に深く感謝いたします。

http://gumbo.jp/p/info/detail.php?tid=95&mode=subinfo


こうなっちゃったことに対するざっくりした感想といっても、まぁ、こちとらにするといまさら感はあるので、とりあえず過去ログを再利用させてもらいます。


 http://d.hatena.ne.jp/bullet/20070116#p1

  • 忘れた頃に省力更新。

 http://d.hatena.ne.jp/bullet/20070122

 http://d.hatena.ne.jp/bullet/20070123#p1

 http://d.hatena.ne.jp/bullet/20070130#p1

  • ガンボの収支計算。

 http://d.hatena.ne.jp/bullet/20070302#p1

 http://d.hatena.ne.jp/bullet/20071109#p1

 http://d.hatena.ne.jp/bullet/20071209#p1



総合的な敗因としては、マンガ編集は素人のはずのデジマ甲斐社長が編集長を兼任してた、ネームバリューや実力の点で陰りが見える江川くらいしか有名作家を用意できなかった、飛びぬけて客を呼べそうな作品を育てきれなかった、なんかがざっと上げられると思う。



で、48号目での撤退ということについて言うと、10月に創刊した単行本による黒字化を見込んでところ、それが適わず、11月に部数を半減してみたものの、やっぱり台所事情が追いつかず、今回の判断になりました、というところでしょう。
そう考えると、やはり、雑誌ベースで黒字を出せる体制を始めからつくっておくべきだったのかしら、と反省点らしきものも浮かんでくる。……本気で「これは売れる!」って思ってたんなら、それこそ編集やマーケティングの力を疑う根拠になると思うけど。
すでにヤフコミに作品を提供するようになってるので、こちらに移転するという手もあるんだろうけど、それだと広告収入がなくなる。そもそも、無料雑誌の形でないなら、読もうという気が起きるコンテンツではない。



48号目の撤退について、もう一点。
例の日テレの出資があったでしょ。

▽出資額
月末に4,000万円。2月末に1億2,000万円を追加出資予定。
追加出資後の株式シェアは16.13%。

▽その他の出資者
トランスコスモス株式会社、エヌ・アイ・エフSMBCベンチャーズ株式会社、オリックス・キャピタル株式会社、他個人

(中略)

社名:株式会社デジマ
所在地:東京都千代田区神田佐久間町3-37 秋葉原センタービル302
代表者:代表取締役社長 甲斐昭彦
資本金:117,012,500円 (資本準備金107,012,500円)

http://www.ntv.co.jp/info/news/345.html

ここで計1億6,000万円が追加された。
現在の資本金は、

372,012,500円 (資本準備金 362,012,500円) ※2007年4月27日現在

http://www.digima.info/company_plofile/index_outline.html

で、3億7,200万円。
2月末から4月末の2カ月の間に、どこからさらに約1億円を調達してきてる。新たな調達分が、役員に名前が入ってるトラコスなのか、別の出資者なのかは気になるけど、指摘したい本題とはあまり関係ないので別に深追いしない。


で、ちょっと話が飛ぶけど、「このマンガを読め!」の座談会で、中野晴行が話してたことには、毎号の赤字がざっくり200万円。×48号で、9,600万円=約1億円の赤字を計上したと思われる。
でも、資本金は3億7,200万円なのでまだ、資金的には余裕があるはずだと思うのね。



けれども、日テレとかの追加出資がある前の、一番最初の段階の資本準備金は1億700万円。



赤字の補填のため、日テレや他の追加出資分に手をつけることは許されなかったんだろうなぁ、追加出資分を引いた最初に集めた分の資金がデッドラインだったんだろうなぁ、追加増資した分は結局「見せ金」みたいなもんだったんだだろうなぁ、と。もしそうなら、ちょっと狡い。



甲斐社長の今後の身の振り方が気になります。





【12/12追記】

「東京」 (株)デジマ(資本金3億7201万2500円、千代田区神田佐久間町3-37、代表甲斐昭彦氏、従業員28名)は、12月11日までに事業を停止し、事後処理を高橋拓也弁護士(千代田区九段南3-9-11、電話03-5275-6676)ほか4名に一任した。
当社は、2006年(平成18年)8月に設立。トランスデジタル東証1部)や日本テレビ放送網東証1部)から出資を得て、2007年1月16日に国内初となる無料漫画週刊誌「コミック・ガンボ」の第1号を創刊。
20〜40代の男性を対象に、江川達也氏や村上もとか氏など著名な漫画家の作品掲載のほか、女性アイドルのグラビアなども掲載。首都圏の駅周辺での配布や首都圏以外においてもインターネットカフェに配置するなど約10万部を配布し、広告収入を主体に設立後11カ月の稼働で2007年6月期は年売上高約9500万円をあげていた。
しかし、広告単価に伸びが見られないなか、漫画家への支払いや印刷・製本費用、また配本に伴うコスト負担がかさみ資金繰りが悪化。作品の単行本化で収益向上を図るべく10月から単行本の発売を開始したものの回復には至らず、12月11日配本の第48号をもって休刊となっていた。
負債は約2億円。

http://www.tdb.co.jp/tosan/syosai/2502.html


9,500万円とか2億円とか具体的な数字を見ながら漠然と。
ティアマガの「編集王に訊く」で斎藤宣彦副編が紹介していた「連載を中心に「きちんとした人間ドラマを描きたい」という社長兼編集長の方針」が勇み足の元だったんじゃないのかなと思う。だってノウハウないのに。本格派を目指そうとして猿真似、廉価版になってちゃ。読者や作家に「安い雑誌」だと足元を見透かされる一因になったと思う。だから、斎藤宣彦副編が話していた「今の『ガンボ』はストイックと言ってもいいくらい純粋な青年マンガ雑誌ですが、フリーマガジンとしてはもっといろんな可能性や選択肢もあったと思うんです。オール読切みたいな作り方もあるし、もっとコラムを増やしたり、ファミリー向けの方向だってあるでしょう。そういう選択肢を捨ててしまっているのはちょっともったいないなあ、とも思う。」という言葉は、今になって、切実なモノがあったなと思う。



今になって。