大きく振りかぶってみよう

はてなダイアリー - 1976腐女子http://d.hatena.ne.jp/emifuwa/20040731前後の日付あたりから、はてな界隈で話題の山下書店「おおきく振りかぶって」POPを書いた女性(おそらく腐女子)の日記「新宿のお嬢」山下書店新宿本店 ながしまえりこ 第20回:〜ごめんなさい。心からの謝罪をみえない貴方に〜http://www.webdokusho.com/koushin/nagashima.php?f_start_number=0000 を読む(地雷犬日記 : BLOGhttp://diarynote.jp/d/38638/20040824.html経由)。

その中で、

根本的にお客様に本を手にとっていただくための“道しるべ”的な役割なので“本を売ること”以上にこちらもお客様に楽しんでいただけるのが一番大切だと思っています。

と、

物凄く売れました。まだブレイク前の口コミ状態のタイトルなので、探している方も多かったらしく、売り場をほんの少し工夫するだけで5冊が150冊に化けたのです。不快な思いをさせてしまった方には本当に申し訳ないと思っているのですが、本の売り上げは作者の方にも出版社の方にも、もちろん書店にも大切な事なので、そこをご理解いただきたいとも思います。今まで欲しくても探し出せなかったお客様に、分かりやすく本を展開する事。これもプロの書店員の大切な仕事なのです。

というふうに、〝未見の人にその本との出会いの機会を提案する〟という一般人の人でも持つ素直な感情と、〝売上を出す〟という書店員としての責務の両方が出てくる。

もちろん、この両方を両立するPOPが一番好ましいわけなんだけど、今回は、腐女子趣味層に対するやおいネタとしてのプッシュが強すぎて、逆に、本来の想定読者層を引かせかねない、それは作品とファン双方にとって不幸だ、ってことで批判を受けている……というのが、ざっくばらんなところみたい。

で、今回、POPを書いた女性の日記を読んで思ったのは、本当にそのPOPだけのおかげて5冊を150冊に伸ばしたのなら、POPとしての役割を充分果たしたわけで、書店員として、正しい答えを選んだんじゃないか、ってことだ。
ただし、本来の想定読者層を対象としたPOPを書いても、山下書店新宿本店では、145冊=人以上の購買者は得られなかったはず、そして、件のPOPを見て購買意欲を失った見込み客層は145冊=人よりも少なかったはず……という点で、分かりやすい理屈がほしいとは思う。

あと、当然なんだけど、件のPOPはメリットよりデメリットが多いという意見が、すでに「おおきく振りかぶって」を「読んでいる」人からしか、(自分の巡回ルートでは)目に入ってこないので、なんか足りない。

件のPOPを見て購入した、それまで「未見だった」人=腐女子層が、不幸な出会い方をしたな、と思っていたなら、その方が説得力を持ちそうな気がする。

まぁ、BL棚と男性マンガ棚、あと、できれば新刊平棚かレジ前の棚に、それぞれの棚にあったPOPをつけて、拡販してもらえるのが、角が立たなくてベターなのかなぁ。
(でも、一冊のマンガのために、そこまではできないよ……)