北朝鮮で初の体外受精児 仙台の指導医師に吉報

今泉さんは約20年前に日本初の体外受精に成功した東北大医学部チームの1人。1991年、医療支援のため初訪朝し、最高レベルとされる平壌産院を訪問。不妊に悩む患者が多いのに西洋医学の情報に乏しい実情を知り、数年ごとに訪朝しながら同院医師らに不妊治療の技術を伝授した。

 あの国で体外受精費用を用意できて、かつ、体外受精をやりたい、あるいはしなくてはならない〝人民〟ってのは、どういう層なんだろう?
 東京新聞の記事http://www.tokyo-np.co.jp/00/detail/20041014/fls_____detail__035.shtmlでは、

排卵誘発剤や顕微授精装置など北朝鮮では入手困難な薬品や機材を、私費で用意し、受精卵の細菌感染を防ぐため病院内の改修を指示するなどした。

 と、日本側から、技術的な指導だけでなく、設備面での無償の投資もそれなりにあったことがうかがえるので、北朝鮮側がどれだけの設備投資を請け負ったかは分からない。
 一方で、

指導が実を結び、平壌産院で6月23日、卵管性不妊症のため12年間妊娠しなかった女性(38)に体外受精で女児が誕生。

 という紹介をされている、26歳の頃から不妊に悩んでいたらしい出産した女性が、今のあの国の経済状況からすると、相当に裕福な環境にある人なんだろうな、とは思われる。
 ところで、共同通信東京新聞の記事と同じく、西日本新聞の記事http://www.nishinippon.co.jp/sokuhounews/20041014/MN2004101401001707.htmlでもそうなんだが、

今泉さんが、日朝の壁を越えて取り組んできた不妊治療の指導が、新しい命を生み出した。

 という本文が、最初の段落の締めとして使われている。東京新聞西日本新聞の記事には、共同通信配信などといった注釈はないので、それぞれの新聞の報道としてみると、おそらく今泉医師サイドからのリリースに乗ってた文章をそのまま拝借したんではないかと思われる。
 新生児死亡率や乳幼児死亡率を下げたとか、十歳以下の子供の栄養状態に改善の傾向とか、そーいう記事ならともかく、あの国で今、不妊治療をしてまで子供を産む環境を整えることに、こんな締めの言葉をつけて手放しの賛辞を贈る理由が、見えない。