総務省、ソフトバンクを行政指導

http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20041102AT1D010B601112004.html

総務省の携帯電話用の電波割り当て案は新規参入を妨害している」との抗議を求めるメールを会員に送信したことを問題視。個人情報の利用目的を特定する義務に違反していると判断して口頭で指導した。

 そうきたかぁ。
 例の周波数帯を開放しろ、いやしないという鞘あてが、微妙にずれた方向へねじれていってる。
 といっても、ソフトバンクの肩を持つわけではまったくなくて、日経とは別の記事、
ソフトバンクBB行政指導/個人情報で違反、総務省にあるように、

ソフトバンクBBは、約450万人分の顧客情報が漏えいした問題で2回にわたり行政指導を受けており、個人情報保護関連では3回目。

そーいう会社だってのもあるしな。
 でも、やはり、ひねってきただけで単なるいやがらせに近いなぁ、というのが第一印象。電話参入が駄目なら駄目で、はっきりした理由を(あるなら)言えばいいだろうに。
 まぁ、確かにガイドラインを字義通りにとるなら、駅前でむりくり配ってたヤフーBBなんかの契約時に、「パブリックコメントの協力要請のために、個人情報を利用することがあります」と書いた書面に同意をもらっておかなくてはならない……、ということではあるのかもしれないが。
 それに今回の総務省のやり口で、個人情報保護法やそのガイドラインの読み替えを、官僚の裁量、解釈といった部分の次第で行うということが、同じように出てくるんじゃないか、と思わせる。

このまま放置すれば、個人情報を無制限に利用する事態も招きかねないとして行政指導を決めた。

 このお題目は常用句として、今後いくらでもお目にかかることになるだろう。

 あと、一カ月ほど前の記事だが9/26の東京新聞特報で、ソフトバンクが加入者に協力を要請した行政への意見書「パブリックコメント」について、
パブリックコメントって何? ソフトバンク“総動員”で注目は、その実態の参考になる個所が多いので一部抜粋しておく。
 また実際に今募集しているパブコメと募集結果は、こちらのパブリックコメント・意見募集案内(案件一覧)で見ることができる。

ソフトバンクBBが運営するインターネット接続サービス「ヤフーBB」の加入者は、単独のADSL(非対称デジタル加入者線)としては国内最大の約四百四十万人で、「その大部分にメールを送った」(ソフトバンクBB広報部)。いわば国内最大規模の“動員”をかけた形だ。
(中略)
こうした攻勢が功を奏したのか、六日の募集締め切りまでに同省には三万通ものメールが殺到した。
担当の同省移動通信課は「孫社長のメールが発送された三日になって爆発的にメールが来た。数千通のウイルスメールも含まれているようだ。まだ全部見終わらず職員が手分けしてやっている。はっきり言って大変だ」と困惑している。

「これだけ聞くと、国民は国が何かわれわれの意見を考慮してくれるんじゃないかという感じを受けるかもしれないが、現実にはそうでない」と、幻想を打ち消すのは南山大学の榊原秀訓教授(行政法)だ。「どの意見を採用するかの基準はない。役人にとって都合の悪い意見は採用しないという傾向は変わっていないし、不満のガス抜きに使われているという意見もある」

旧郵政省や米国の同省にあたる連邦通信委員会(FCC)に在籍したコンサルティング会社「風雲友」社長の(中略)田中良拓氏は「今回の孫社長はいわば実験として呼び掛けたのだと思うが、多数の意見が出れば社会的影響力を持つ。特に政治家が取り上げれば、政治問題化することで行政の思い通りにさせないということもできる」とメリットを指摘する。
一方で、「多数決原理ではなく意見の質を競うのがパブリックコメント制度の原則」と指摘するのは、総務省の諮問機関「行政手続法検討会」委員で学習院大の常岡孝好教授(行政法)だ。「むしろ制度をセレモニーにしてしまわないためには、官僚が意見を無視したり、合理的な理由がないのに意見を採用しなかったケースについて正式に行政の決定を是正させるシステムをつくるかどうかが問題だ」という。
検討会は、同制度を行政手続法の中に明文化することを目指し、行政立法に対する不服申立制度の法制化や、義務的にパブリックコメントを募集する範囲を審議会の答申などに広げる案などについて議論。早ければ次期通常国会に同法改正案が提出される見込みだ。
ただ、これまでパブリックコメントを受けて案が大幅にひっくり返るようなケースはなく、行政側も「それが起きないようにすべき」(総務省幹部)との立場で、法制化されても変化が起きるかは微妙だ。