新宿御苑で

 市ヶ谷から新宿へ移動。
 時間が空いたので、「世界堂」で小型のノートやメモ帳を数冊買い込んだ後、初めて新宿御苑へ行ってみた。
 都会の真ん中にある大きな公園で、のんびり休日を過ごすというライフスタイルにいつから憧れていたのかはよく覚えてないが、実際には、そんな趣味をもちえない性格であることは、京都在住時代に真夏の京都御所のベンチで暑さにうだりながら「これの何が楽しいンだ?」と一人ごちて、御所内の砂利道を自転車を押して歩いているときに理解できたように思う。多分、ライアーソフトファンクラブ会報誌で大石竜子氏のイラストで案内されていた猫の集まる公園というイメージにでも、知らず知らずのうちに惹かれていたんだろう(あぁ、「FOREST」をやれるアッパーな精神状態がまた訪れないだろうか?)。
 大人入場料200円を払って中へ。
 空気が違うことに驚く。日曜から今週は途切れ途切れに4、5時間分の睡眠をとるリズムが続いているので、ベンチで30分くらい寝るのもいいかという気分が半分くらいあったのだが、逆に眠気が去っていった。排ガスやエアコンの空気が睡眠不足時に眠気を誘う体質なのかもしれない。
 平日だけあって、老人やイーゼルを抱えた画学生ばかりが目立つ。ほかには、入園料が無料の保育園児らしき遠足の集団くらい。
 そして、都会の空気から切り離されて冴えてくる頭のまま、小一時間ほど延々と園内を歩き続けて、ああ、ここは都会のなかにあって、しかし都会ではないのだな、と思わせるできごとが3回ほどあった。
 小一時間ほどの間に、3回も他人から話しかけられる。もちろんキャッツセールスなどではない。
 確かに居たしかし野良にしてはやけに毛艶のいい猫を水辺でデジカメ撮影しているときに背後から40歳代ほどの女性、御苑内で開催してる菊花檀展の近くで60歳代の女性、点在する池の一つにかかる橋の上でカメラマンらしき20歳代の白人男性、が(英語で)。
 白人男性は次の移動先である渋谷の御苑からの距離を尋ねる内容だったが、*1女性2人は「猫多いですよね」「あのタワーの名前は何ていうんでしょうね」という雑談から入ってこられて少々めんくらう。「この猫が見たのは初めてなんですよ」「さて、何でしたっけねぇ」と返し、二言三言ほどでそれぞれの散策に戻った。
 出入りが自由な御所と違い、入園料が必要な御苑はそこである程度人が絞られるため、なんらか共通の参加意思のようなものが無意識につくられるのか。古い商店街などでよく、店主と初めての客の間で案外親しげな会話が交わされたりするのと似ているかもしれない。




 ところで、もしかしたらと思い、保育園児らしき集団の近辺を2回ほどぐるぐると歩いてみたが、20歳代の保母の人たちに声をかけられることがなかったのはどうしてだろう。

*1:今思い出すと、言葉はSHIBUYAだったが、持参する地図上の指先は明治神宮を指していたように思う。そうすると、渋谷駅よりは原宿駅を薦めておくべきだった。