ロケットまつり3 

 歌舞伎町のロフトプラスワンで19:30からの「ロケットまつり3」に参加。あさりよしとお氏、笹本祐一氏、松浦晋也氏の前回の面子に加えて、東京大学生産技術研究所に入所後、450機のロケット打ち上げにかかわった技術者、林紀幸氏がゲスト。満員でかなりの盛況。


 昭和30年の1年間だけで研究所が手がけた合計45回のペンシルロケット、ベビーロケットの打ち上げ映像を上映(モノクロ、音声なし)。高速度カメラで撮影された水平発射の映像は、なかなか見ごたえがあった。あの時代、高速度カメラなんてものがあったのにも少し驚く。水平発射は、進行方向に一定間隔で紙を張っておき、それを破っていくことで速度を算出する。
 ペンシルより大きなベビーの発射映像は、新潟の海岸で打ち上げチャンバーに設置して仰角を取っての打ち上げ。ちなみに、初任給7,500円の林氏が新潟出張の際に受け取っていた出張費は、38,000円くらいだったらしい。ロケットの中にはめ込まれた計測器を、海上保安庁に依頼したヘリが、海から釣竿で回収しようとする映像が、かなり面白い。
 新潟の打上実験場で、昭和37年(か38年)にカッパ8型の夜間打ち上げに失敗したときの映像は、これまた地上型花火を見るようで、惨事を想像させるよりも先に、綺麗ー、という印象。もうカラー化してたし(取材にきてたNHKが撮ったものだったらしい)。
 失敗して海中に墜落した二段型ロケットの上段部が、水中でエンジンを正常に作動させ、海岸へ再び突入してくるシーンもしっかり撮影されていた。墜落を騒ぎ立てる人と、冷静に上段部の再始動を予想して周囲に注意を促す人の二通りがいた、と林氏の話。そーいうところで、危機対処能力というのは、確かに差が出てくるものなんだろう。
 翌日の秋田新報の見出しは「人畜に被害なし」。付近の民家の藁葺き屋根に破片が落下したりしたくらいだったようだ。もし人死にでもあれば、その後の国内ロケット開発に大きな後退があったはず、と出演者の間で一致していた。
 打上失敗関連の話が、ずいぶん盛り上がる。田んぼで仕事中のおばさんの横や、線路脇に落下したケースもあったとのこと。ある打ち上げ実験前に林氏が発見して報告した、33本のボルトのうち11本が締め忘れになっていたケースは、22本を締めたところで昼飯の時間になったから、らしい(笑)。
 



 と、まぁ、ここまで書いてみたが、過去の映像はなかなか貴重で面白かったんだけど、少々昔話に偏り過ぎていたため、前回ほどの高揚は個人的になかった(前回は最前線で現役の技術者として活躍する野田氏がほぼメイントークをはっていたから、というのもあるが)。最後の質疑応答が林氏に人生訓を語ってもらうような流れになっていったのも、切り口がロケット開発というだけで、話の中身は「戦国武将」や「三国志」好きな上司がよく持ち出しそうな印象を受けた。
 
 トークの部分は、前回のように、現状の国内宇宙開発の甘さを、いろんな角度から切っていったりしてもらったほうが、よほど興味をそそられたかなぁ。例えていえば、出演者の一人でもある松浦晋也氏が自信のブログで書いている、「北海道ロケットに関する防衛副長官の発言を考察する」の考察とコメント欄のやりとりのような。 

 それから、22:00で解散ってちょっと早すぎませんか、ということで。