ヤングガンガン 創刊号

 ガンガン系のマンガ誌は初めて手を出した。山手線で、藤原カムイドラクエマンガと韓国人の新人のFF11マンガをプッシュした、2面分の中吊り広告を結構見かけていたというのと、エロ系、青年誌系からの登板がいく人かあったので購入。つまり、月野定規のエロなしっぽいマンガが初めて読めるからだ。270円とそれなりにお安いし。

 雑感としては、柱になるマンガが見当たらないところが、太田垣康男のやる気が見えた「東方機神傳承譚ボロブドゥール」を終わらせることになった「コミックバウンド」を思い出させてやるせない。

 巻頭は、中途半端な大きさの天野作画「FF11」ポスターに続いて、原作、作画とも韓国人コンビによる「FF11」マンガ。笑顔のまま、銃で獣人の頭をふっとばし、ファイガで燃やしつくす、プレイヤーキャラたちが人非人だ。攻城兵器まで使う獣人なら、ある程度の知性を備えてそうに思える分、文字通りゲーム感覚で殺ってるなお前ら、という印象が先にたつ。MMOファンがつくった、プレイヤーキャラ視点のFFアンソロというか、同人。どうせなら、同じように初回からサクサク殺し合いを入れてきた藤原ドラクエマンガでも、巻頭はよかったのではないか。

 で、巻頭の次が「マンホール」という、ファンタシジーっぽさの欠片もないサイコミステリマンガで、調子が途切れる。モーニングでやってる外園昌也のエボラマンガとよく似てる。
 
 「黒神」。これも韓国からの新人。夏元雅人似の絵で、初見の作家のなかでは、一番女性キャラが気に入った。しかし、幼なじみから遊ぶ金をせびる男が主人公って、FF11マンガもそうだが、どうも編集部は、人格的に嫌悪感を感じるキャラ設定に疑問をあまり持ってないらしい。

 「BAMBOO BLADE」。こんな適当な筋立てに原作が必要なのか。

 「戦線スパイクヒルズ」。「十九、二十」が好きだった原田宗典が原作。「最遊記」の人に若干奥瀬サキを混ぜたような絵柄(なんかこの雑誌、近似感の強いマンガが多いな……)。次号への引き方は、もっともそそられた。中綴じ270円の雑誌で、45ページを使っているというのは大きいかもしれない。

 「すももももももも」。アクションはいいから、エロをもっと楽しく。

 「セキレイ」。アクションは(以下略)。

 「MISS ウィザード(仮)」。忙しくてアシスタントに原案出させてるのか? 「戦線〜」以外、ここまでまともに初回を読ませるマンガがない。

 「荒川アンダーザブリッジ」。女の子はそんなに(外見は)可愛くないが、男のほうのキャラに芯が通ってる。「恋をさせてくれないか」。ラストの大ゴマは見開きでやっとくべき。けど、「戦線〜」の次に、次号が楽しみ。

 「めたもる!! オーキッド」。月野定規の集中連載、1回目。月野マンガは、中田氏した後の余韻を味わってる男女の恍惚とした表情が一番エロくて良いわけだが、一般誌の初回でそこまで書けるわけもなく、他の掲載マンガの男キャラのヘタレ具合に読後感が引っ張られて、それほど面白さを感じられず。

 「ユーベルブラッド」。……なんで、ファンタジー系のマンガは、こうも表情がのっぺりしてるんだろう、と思わずにいられない。引き方もひどい。「ホムンクルス」方式か?*1

 
 
 ここまで読者層が見えないマンガ誌は、久々に読んだな。YOUNG GANGAN OFFICIALSITEでも、壁紙ダウンロードサービスの条件に、20項目以上もあるなかから希望ジャンルのアンケートをさせている。はやいところ、方向性を見せたほうがいいと思う。

*1:毎回決められたページをあげるのではなく、作者が書き溜めた分から、編集側がその号に掲載するのに適当な区切り、分量の原稿を持っていく方式。