どうする性犯罪対策 針間克己氏(精神科医)

 http://www.tokyo-np.co.jp/00/kur/20050125/ftu_____kur_____000.shtml

 過去4回連載していた、識者に聞く性犯罪対策の5段目。ミーガン法の効果が焦点だった4回分から、今回は、性犯罪者の治療について聞いている。


 ・性犯罪者に必要なのは治療。奈良の事件の犯行内容は回を重ねるごとにひどくなっている。治療でどこまで防げるか、明確には言えないが、前回の犯行後に治療して再犯を防ぐ努力をしていれば、事件は防げたかもしれない。
 ・判決と同時に治療の義務も命じ、刑務所で治療を受けさせる仕組みが必要。出所すれば、自発的に治療に通うことはまずない。刑務所内なら治療の実行が可能。
 ・ミーガン法は人権問題もあり、賛否は分かれる。刑務所内治療はシステムと人材だけですむ。


 ・(性犯罪者を精神疾患ととらえるべきか、という質問に対して)すべてそうとはいわないが、精神科治療の対象なのに見逃されているケースも多い。
 ・精神疾患と診断できる性犯罪者のパターンは主に3つ。
 ・一つ目は、重い精神病があり責任能力がない場合。もっぱらその精神病への医学的治療が行われる。
 ・二つ目は、責任能力はあるが、知的な発達上の問題などを抱えている場合。
 ・三つ目は、小児性愛者や、死体性愛など性嗜好(しこう)異常(パラフィリア)の人々。この人たちは責任能力があり、服役中に疾患への対応なく出所して、再び犯行に及ぶ。これまで治療対象として見逃されてきた。この人たちに治療をすれば、効果は期待できる。
 ・治療は基本的にカウンセリング。うつやストレスなど、病的原因が引き金の場合は抗うつ薬抗不安薬、抗てんかん薬などを投じる場合もある。米国などでは抗男性ホルモン剤投与で性欲を減退させる薬物療法もあるが、人権的な問題から日本での実施は難しい。


 ・(カウンセリングで治せるのか、という質問に対して)小児性愛者で根っから少女が好きな場合は難しい。でも成人女性が怖く、その代わりに少女へ向かってる場合であれば、生身の成人女性とのコミュニケーション能力を磨いていけば、治る可能性がある。
 ・ロリコン映像が見られないように「お気に入り」登録をすべて削除させるのも、よくある例。やめるのは難しいが。
 ・(ネット上の映像も犯行を後押しするのか、という質問に対して)レイプなどの学習を重ねてしまうでしょう。ネット上に「少女をレイプした」という書き込みも氾濫していて、少女レイプを当たり前のように思い、犯行に走る危険はある。
 ・レイプ願望を持つ男性がいても、実行に移すまではかつて大きなギャップがあった。でもネット映像などが溢(あふ)れている今は、比較的行動へとステップアップしやすくなった。
 
 ・性犯罪の責任は犯罪者本人にある。被害女性の態度や服装のせいにしたり、「ちょっとしたいたずら」「男なら誰でもやる」などという言葉で片づけないで。





  精神科医から見ると、(あくまで性犯罪を犯してしまったというファクターがともなうが)小児性愛者という性的嗜好は異常、という認識らしい。しかもネクロフィリアと同レベルの。

 しかし、この人は、ネットの影響についてえらく性悪説というか、懐疑的だな。「少女レイプをした」なんて書き込みやそれと似たような書き込みを、2ちゃんねるのネタ系以外で、自分はまだ見たことがないんだが(「〜したい」ではないんだろ?)。それにそういうことが書かれた掲示板やスレッドは、たいてい「書いたやつ氏ね」的なレスとセットだし。そういったレイプ願望なんかを諌めたり、やるようなやつは人非人という常識もネット上には至極まっとうな意見として転がっていると思うが。
 でも、ミーガン法より先にやることがあるとすれば、より良いカウンセリング方法を見つけることだろうとは確かに思う。