残酷な入社試験のトリック

 妖精現実 フェアリアル(2/13)より。

面接官「のりまきあられと、せりおが戦ったら、どちらが勝つと思いますか。理由もつけて答えてください」
受験生「………すいません、質問の意味自体が分からないのですが?」
面接官「合格です!」


模範失敗例
あの繊細そうなセリオと、あの頑丈そうなアラレちゃんが戦えば、当然アラレちゃんが勝つように思えます。高度に複雑化したOSと、単純なMS-DOSの堅牢性になぞらえることができるかもしれません。しかし、セリオに搭載されている技術を考えると、そう簡単には結論が出せないはずです。アラレちゃんはスタンドアローンですが、セリオはサテライトを経由して全世界から情報的なバックアップを受けているのです。原理的には、セリオは自分で指一本動かすことなく、サテライトを経由してアラレちゃんに核ミサイルを撃ち込むことだってできるはずです。今は情報化時代です。古いものの方が丈夫そうで安全だ、などとぬるま湯に浸っていては進歩はあり得ません。単純な安定性の比較で、現代のOSよりMS-DOSがまさっているというのか。「どちらが勝つか」という分析は、そんな単純なものであってはならないはずです。マーケタビリティで言えば、セリオが勝つでしょう。テクノロジーの比較で言えば、セリオが勝つでしょう。そして何より、その洗練された美しいインターフェイスにおいて、セリオが勝ちます。では安定性、物理的能力はどうか。わたしならアラレちゃんに勝てるセリオに賭ける。繊細で高度でしかも頑健なシステムを作る。それこそが現代の、そしてこれからのニーズではないでしょうか。このような信念で、御社の、そして社会の未来へと貢献していきたいと考えております。


 なんで合格で、どうして失敗なのかよくわからんところが、気になったので。
 もしかして、表題が「残酷な天使のテーゼ」をもじっているんだとして、製作者の思惑以上の深読みを巻き起こさせたうえ、自家中毒に陥っていったファンや識者を続出させた「エヴァ」の事例を、こういったネタに変換、応用させた、ということなのかな。




 「……すいません、このネタの意味自体が分からないのですが?」
 「残念です!」





※2/15追記
 reroの日記 - ヲタの雇用は制限できるか?(2/13)を読ませもらって、やっとレトリックがわかった。
 つまり、「のりまきあられ」と「せりお」がそれぞれアンドロイドだという前提すら、一般人にはわからないはずだから……、ということなのね。だから、「のりまきあられ」と「せりお」という固有名詞らしきものを与えられたモノが、食べ物なのか粘土なのかバルコニーなのかアマゾンに生える植物なのかそれすらもわからないのであれば、その2つがさらに「戦う」ということの意味もわからない。なんらかの固有名詞だと推測できても、「戦う」が実際にファイトさせることを指しているのか、比喩なのかという疑問も出てくるわけだ。質問の文面が前提として破綻しているものと感じなきゃならないわけだ。日本語を知らない振りをしてる外国人の前で日本語で悪口を言って試すみたいなもんか。いやいや、なかなか皮肉がきいてて面白いじゃないか。



 ……一目で質問の(表面上の)意図を理解しちゃったよ。