オタクにオタク歴史を把握する能力がなくなってきているのか?+野田昌宏氏をフォローしてなかった理由

 図らずも2/13のエントリがキッカケになってしまったようだけど、またずいぶんと遠くまで舞台は移動したな、という感じ。
 ゲームセンターに明日はあるの?絶叫機械+絶望中止の意見を受けた、ARTIFACT@ハテナ系の意見。

 オタク、あるいはマニア、あるいはあるジャンルのファン層における歴史感覚のなさは果たしてあるのか。id:screammachineさんが言う、「(オタク歴史の把握能力に世代間の)違いなどはない、比べているのは世代ではなく「自分」と「他人」なのだ。」で、大概の論争は確かにFAできそうな気がするし、今回のやりとりもそれで勢いが先走った面を感じるので、それで終わっていいかも、とは思う。id:Hayashidaさんが今日になってこちらへ正式にトラバを送っているのも、終結宣言という意味だろうし。



 まあ、だけれども、類似の事象はそこここで見てとれるわけで。

 最近で言えば、「ライトノベル☆めった斬り!」(http://d.hatena.ne.jp/asin/4872339045)。
 1/29にジュンク堂池袋店であったトークセッション(http://d.hatena.ne.jp/bullet/20050129)冒頭、大森望氏が冗談めかして口にしていたが、「昔のことなんていまさら特に興味ないよ」という層の反応は、結構あったらしい。
 自分は、どっちの気持ちにも傾倒できる位置だったので判断を保留していた。
 80年代中ごろからのゲームブックブームと80年代終盤に至る急速な終焉、そこからブギーポップ登場までの個人的ミッシングリンクを埋める「めった斬り!」の解説については、とても興味深く読んだわけだが、70年代のウルフガイや、さらにそれ以前にあった現在のライトノベルに繋がる流れについては、そのあたりの本の読書量と予備知識がともなわなさ過ぎて、はっきりいってあまり興味が沸かなかった。
 自分が生きてきた期間、あるいはオタク的感性を自認し始めて以降の期間より前の事象については、ライトノベルは自分のなかで最優先されるジャンルではない以上、さほど知識を高める必要を感じていないから。


 で、「アニメ会」ライブでもらったチラシをもとにしたあのエントリをアップしたときの経緯を振り返ってみると、「ライトノベル完全読本②」(http://d.hatena.ne.jp/asin/4822217086)で野田昌宏氏のインタビューを読んでいて、テレビ制作会社のトップだったなとか(テレワークという会社名は出てなかった)、そこはポンキッキとかつくってたとか話してたな、ということを記憶にとどめていたので、テレワークのページを閲覧したときにその会社概要(http://www.tvw.co.jp/gaiyo.html)は見たのだが、代表者名が違っていたので、やはり別の会社だったのかと思い、それで済ませていた。
 (今読本②を読むと、「71歳なのでテレビ屋から足を洗って、もう一度SFというか、小説をきっちりやろうと思っています。」との話が載っていた)

 だから、テレワークが最近代表異動があったかも?といったオタク的探究心が足りなかったと仮に言われれば、そのガッカリしたというその気持ちを拒否しない。
 オタクならそのくらいのことは基本知識として知ってるべきだ、という見解には意見はない。そういわれれば、もっときちんと知っていなければならないような気もするが、別にいいやという気もする。


 でも一つ考えるのは、もし野田氏がいまもテレワークのトップであったとしても、野田氏の意志がいくらかでも企画に反映されて、もっとオタクの目から見て公平な番組が、「EZTV」のオタク番組(http://blog.livedoor.jp/geek/archives/9333146.html)よりは期待できるんじゃないか……、といった感想はもたなかったろう。

 70歳を超える野田氏が、20歳代後半〜40歳代が日常にする今時の秋葉原オタク、秋葉原的な萌えといったものに対して、どこまで理解や共感が及んだり観察眼を養えられているかというと、自分としては企画に対する具体的な提言ができるほどではないだろうと思うからだ。

 「読本②」では、ガイナックスが「最初にやろうと言い出したイベント」(いつのものかは表記なし)に「ガイナックスとは非常に気分よく付き合っていた。」なかで、「見てて面白いので煽っていただけですが(笑)」といったスタンスで、オタク界隈との付き合いがあったことが読めるが、それでも10数年は前のことじゃないかとは思うし。

 今の秋葉原オタクを切り取るという企画を検討するテレビ制作会社をつくりあげた人物として野田昌宏という人がいた、という事実は、今回の企画の方向性を外から興味深く眺めるうえで、そんなに考慮の必要のあるファクターだとは、たとえその事実を知っていたとしても、思わなかっただろう。エロゲと萌えネタに占拠された今の秋葉原と、野田氏の骨太なSF普及活動は、自分の中でほとんどリンクしない(SFオタクがこの企画に名乗りをあげて採用されるようならこの見解は覆るわけだが……)。



 あと、情報として参考になるかもしれないので書いておくと、2/13のエントリをあげて現在までにそれ関連で残された10数個所からのリファラのうち、野田氏のことに触れたエントリは、こちら(http://blog.livedoor.jp/soylent_green/archives/14279325.html)だけだった(SNS系であったのかもしれないが、どこも参加してないので)。