香港国際警察 NEW POLICE STORY(監督:ベニー・チャン)

 実はジャッキー映画を「映画館で」一度も観たことがない。だから石丸の吹き替えでないジャッキーの演技してる生声を聞くのも初めてということになる。

 さておき、山手線沿線で唯一上映してた有楽町スバル座へ。新宿や渋谷や池袋では上映館がないという微妙な扱い。スバル座は初めて。普通のビルのなかにあって、小奇麗ではあるが古ぼけた印象。病院の待合室のような雰囲気のロビーに上映40分前に入ると、すでに50人ほども人が。待合室のイスがすべて埋まっていたので、本が読めず、音声を消して放映していたメイキングをぼーっと眺める。つーか、アクション映画のメイキングを上映待ちのロビーで流すってなんか問題があるようなないような。ジャッキーだし、まぁ、いいか。公開2日目の16:05の回で、約300席がほぼ満席。


 警部役のジャッキーは、銀行強盗犯のアジトを襲撃し損なって、部下9人を殺害され、冒頭から酒におぼれる失意の生活。そこになんだか怪しい巡査が近づいてきて再び強盗犯たちの捜査に引き込まれていくんだが、深い喪失感からいつまでたっても煮え切らず、カンフーにも切れがない序盤〜中盤のジャッキーの役どころが、なかなか新鮮。
 みどころをあげるなら、疲れた中年どころの役に初めて本格的に挑戦したジャッキー。ハリウッドとやった映画は、ひょうきんな米国人と対比するために真面目さが強調されるし、有能ゆえに派遣されたという設定だったりで、ほぼヒーローという役どころを定型でなぞったものだったけれども、今回の映画では、年相応の疲弊や臆病さをかいま見せてくれる。
 でもアクションシーンではあいからわず体当たりで、中盤にあるバスのシーンなんかは、ほんとーに体張ってる。体はまだまだ若いぜ、ジャッキー。 
 
 ただ、強盗犯らがボンネットを悠々貫通する重火器で武装していることが事前にわかってて、SWATに出動要請もせず、拳銃と一部捜査官に小銃をもたせたのみでアジトに踏み込む流れとか、怪しい巡査がジャッキーとバディを組む根本的な動機が薄いとか、シリアスとコメディのバランスがちぐはぐとか、あいかわらずジャッキー映画は脚本の詰めがゆるい。
 企業タイアップのシーンも、個人的にかなりうるさかった。レ○とか、三○とか。*1例によって最後はNGシーン集なんだけれども、流れてくるテロップに十数社はあがっていた。
 
 あと、怪しい巡査役のニコラス・ツェーhttp://www.hongkong-police.com/cast/02.html)がずっと着てるコートは、色からし織田裕二のあの役のマネなのかな、やっぱり。



公式サイト:香港国際警察/NEW POLICE STORY

*1:三○製品がジャッキー映画に出るのはデフォみたい。過去にCMに出たり、レースチームもってたりするらしい。