代理母が五つ子出産、報酬を辞退 米国(CNN)

 http://www.cnn.co.jp/usa/CNN200504270011.html

出産した女性は、1万5000ドル(約160万円)で代理母を引き受けたが、五つ子の妊娠がわかってから、依頼夫婦の今後の出費を心配し、報酬の受け取りを辞退している。

 彼女が報酬を受け取らなかったことが「美談」として大きく報道されることで、代理出産を受けることが正しい、あるいは自己犠牲に近い要素を強めていくことができる。つまり、その分、子宮をレンタルさせて報酬を得るという商売の要素を薄められる。
 報酬を受け取らなかった女性が何か特定の宗教や思想を熱心に信じていた場合、その宗教を信じる他の女性信者に対して代理出産に積極的にかかわるよう求める力が、今後働いていくかもしれない。

 まぁ、でも、一番突っ込みたいのは、ここだ。 

医師は、今回の出産が非常に珍しい五つ子だったにもかかわらず順調だったのは、アンダーソンさんが計4度の出産経験がある「ベテラン妊婦」だったからだと話している。

 はぁ? ふざけろ。子供を産むほど安産できる体になるっていうのか? 脱臼肩なみだな。そういう説明をのうのうとする医師だから、5個もの受精卵を子宮に着床させようとしたのか。

アンダーソンさんが代理母となった際、成功率を高めるために受精卵5個を子宮に戻したところ、すべて妊娠につながった。
一方、米生殖医学会は昨年、多胎妊娠の危険があるとして、35歳以下の女性に関しては、子宮に戻す受精卵の数を2個以下とする指針を打ち出している。

 まず、5個も受精卵を体内に戻して、母体の安全を軽んじた医師の判断。
 それらがすべて妊娠した後、5人ともを生むことを許可した医師の判断と、生むことを決意した代理母の判断の背景。
 自らの生命を危険にさらすことをいとわず、さらに契約していた報酬まで受け取らないという判断。
 


 一方で日本国内で見た、減数手術という名の“間引き”の実態から。
 
 多胎妊娠の減数手術…三つ子で4割、四つ子は7割(読売)
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050404-00000016-yom-soci

不妊治療で妊娠した複数の胎児を人工的に減らす「減数手術」が、三つ子の妊娠例の4割、四つ子以上では7割で行われていることが徳島大の調査でわかった。

調査は、体外受精を実施している全国588施設を対象に、2000〜02年の3年間に発生した三つ子以上の妊娠について尋ね、45%にあたる262施設から回答があった。その結果、三つ子以上の妊娠570例のうち228例(40%)で減数手術が行われていた。
三つ子では519例中191例(37%)で行われ、そのうち161例は双子に、30例は1人に減らされていた。四つ子以上では51例中37例(73%)が双子か1人に減数手術されていた。
過去の調査と比較すると、1994〜96年では三つ子以上の22%、97〜99年では33%で減数手術が行われており、年々実施率が高まっていることがわかった。
多胎妊娠を防ぐため、同学会の会告は、体外受精で子宮に戻す受精卵を3個までに制限しているが、今回の調査では4〜6個移植しているケースもあった。
同大の松崎利也講師(女性医学)は「まず多胎妊娠を防ぐべきだ。子宮に移植する受精卵数を2個までに制限するよう、学会会告を見直す必要があるのではないか」と訴えている。

3胎妊娠の4割で減数手術 体外受精で会告違反も(共同)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050402-00000072-kyodo-soci

日本産科婦人科学会の会告は、体外受精で母体に戻す受精卵を3個以内としているが、3胎妊娠の女性は平均3・1個の受精卵を移植され、10個というケースもあった。

苛原教授らは、不妊治療を行っている全国の主な病院588施設に、2000年から02年までの3胎以上の妊娠についてアンケート。264施設から回答を得た。多胎妊娠は計570例で、うち自然妊娠は12例だけで、4胎以上の妊娠51例は排卵誘発が65%を占めた。
減数手術は228例(40%)で実施、4胎以上では37例(73%)と高率だった。

 アメリカでは2個まで、日本では3個まで。1個余分に戻すことで、母体の負担がどれだけ増加する? それとも、生命倫理観の違いからくる1個の差なのか。日本では代理母は認められていないため、自らのお腹を痛めて生むのに複数の受精卵を戻すのをいとわないという思いがあるだろうことはわかる。