やはり性犯罪の再犯率うんぬんは、方便

 読売、共同の記事は札幌から ニュースの現場で考えること(5/17)より。GW中に第一報は出ていた。遊びほうけていて気がつかず。

  • 出所者情報提供、殺人・強盗など20罪種も追加方針(読売)

 http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20050516it11.htm

法務省は16日、再犯防止などの目的で警察庁に提供する受刑者の出所情報について、既に決まっている12歳以下の子供に対する強姦(ごうかん)や強制わいせつなどの性犯罪以外に、殺人や薬物使用など約20罪種も追加する方針を固めた。
対象拡大を要請していた警察庁との協議で大筋合意した。子供対象の性犯罪と同時に6月から実施したい考えだ。
提供の対象は、〈1〉殺人、強盗、強姦などの凶悪犯罪〈2〉覚せい剤取締法違反、放火、窃盗など常習性の高い犯罪――の計約20罪種で服役した受刑者の情報。子供に対する性犯罪者については、再犯防止が主な目的のため、出所日と、出所後の居住先の「帰住予定地」の情報を提供する。今回の拡大分は、警察庁が捜査への活用を念頭に置いており、当面、出所日に限定する。ただ、捜査上の個別の照会があれば、従来通り住所情報などの提供に応じる。
一連の情報提供については、奈良市の女児誘拐殺人事件の容疑者が性犯罪前歴者だったことを受け、法務省警察庁が協議した結果、12歳以下の子供に対する強姦、強盗強姦、強制わいせつ、わいせつ目的略取・誘拐の四つの性犯罪の情報提供で合意した。

  • 20程度の犯罪へ拡大検討 政府、出所者情報提供で(共同)

 http://news.goo.ne.jp/news/kyodo/seiji/20050505/20050505a1680.html

政府は4日、再犯防止策の一環として法務省警察庁に提供する受刑者の出所情報の対象について、既に決めている「13歳未満の子供に対する4種類の性犯罪」に加え、殺人や放火、強盗、窃盗、住居侵入など再犯性が高いとの指摘がある計20程度の犯罪に拡大する方向で検討に入った。

 http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20050513AT1G1202312052005.html

刑務所からの出所情報を法務省警察庁に提供する新たな仕組みについて、児童に対する性犯罪で服役していた者以外への対象拡大を検討していた両省庁は12日までに、対象を殺人や強盗などの凶悪・重大犯と窃盗や覚せい剤取締法違反などの再犯のおそれの強い約20罪種とすることで合意した。6月にも運用を始める方針。
性犯罪者の出所情報に関しては、13歳未満の子供に刑法の性的暴行(強姦=ごうかん)、強盗性的暴行(強盗強姦)、強制わいせつ、わいせつ目的略取・誘拐の四罪種を対象に、刑務所からの出所予定日と居住予定地などを6月から提供することがすでに決まっている。

  • 政府が受刑者出所情報の公開対象犯罪を拡大(サンスポ)

 http://www.sanspo.com/shakai/top/sha200505/sha2005050511.html

政府は4日、再犯防止策の一環として法務省警察庁に提供する受刑者の出所情報の対象について、既に決めている「13歳未満の子供に対する4種類の性犯罪」に加え、殺人や放火、強盗、窃盗、住居侵入など再犯性が高いとの指摘がある計20程度の犯罪に拡大する方向で検討に入った。子供に対する性犯罪に関しては6月実施の方針。

 「殺人」「放火」「強盗」「窃盗」「覚せい剤取締法違反」「住居侵入」といった犯罪よりも性犯罪の再犯率が高いという前提で(つまり、性犯罪に対する他の犯罪という比較論で)、情報公開に踏み切ろうかという話が進んでたんじゃなかったのか、という建て前論は、すでに三カ月も前、例えば、受刑者の出所後情報の提供範囲拡大を検討へ 首相が提起 とか情報提供の対象拡大を検討 細田氏が再犯防止で表明といった記事で見られた、情報公開対象犯罪の拡大を示唆する発言によって、むなしいものとなるだろう予兆を感じさせてはいた。前にも書いたように(http://d.hatena.ne.jp/bullet/20050215#p1)。


 これとは別の路線で、平沢勝栄レイプ疑惑議員が委員をしている自民党の「特定犯罪の抑止等に関する小委員会」で、性犯罪の再犯率の正確なところをまとめて情報公開についての議員立法を今の国会中に出すなんて話もあったが。何? 立ち枯れ? 
元記事が消えてるためキャッシュばかりになるが 「どうする性犯罪対策 平沢勝栄・自民党法務部会長」(東京新聞)では、

――前歴者の住所提供で両省庁が連携します。
今後、詰める点は多い。住所把握の期間や移転した場合、本人の届け出制とするか、ペナルティーは、など。更生や社会復帰を考える法務省と、捜査や犯罪予防を考える警察庁では思惑も違い、党が出てまとめなければ、と考えている。私は、情報の提供先は警察だけでいいとは思わない。

と、出張っていって一枚噛んでいくつもりだったようだ。犯罪種の追加方針の合意は、記事だけだど法務省警察庁の直接連携で進んでいるような印象を受ける。
 おそらく人気取りのためくらいにしか思ってないにしても、とりあえず議員立法で表舞台での討論をする気のあるように見える平沢が絡んでくれてるほうが、行政と警察の裁量でどんどん話を進められていくよりもマシなのか。それとも、表に見えてこないだけで、今回の合意にすでに平沢は絡んでたりするのか?