ヤングガンガン 12号

 学年があがってイジメっ子とまた同じクラスになった落胆と似たような「FF11」マンガ再開告知にうなだれつつ今号もいってみようか。


 新連載攻勢第1段、巻頭カラー「死がふたりを分かつまで」。
 衣谷遊に似た絵柄の正体不明作家DOUBLE-Sが作画を担当、原作は、前に、悪魔モノの前後編読み切りでヤンガン登場済みのたかしげ宙
 盲目らしいグラサン、仕込み杖の男と、予知能力を使い彼に助けを求める少女の物語、らしい。
 順手持ちの座頭市といった印象の男が、何故少女を助けることをあの短い時間で決断に至ったのか。別の少女の姿に重ね合わせているコマが挿入されていたりはするけれど、そこがいまいち弱い。「取引成立だな」には、ならないだろう、普通。
 それに、その次のページで、タイトルの「死がふたりを〜」を助けを求める少女に決めゼリフとして言わせるタイミングが唐突過ぎ。機械補助で網膜に直接投射しているという男の視界が「トロン」ばりにレトロなワイヤーフレームで描写しているのは、たかしげ側からもっと今風にという注文はできなかったのかな。
 でも、1話目だけを読んで面白さを判断できるタイプのマンガではないように思うので、次号の展開によっておそらくまた印象が変わるだろう。


 「マンホール」。
 20ページ分見所満載。冒頭の、旅行家の紀行文という体裁をとった寄生虫の出所を紐解く味のある解説、後半の、蚊に体中を吸われ朦朧とした裸の女性。ホラーになってきた。


 「すもももももも」。
 悩む悩むおさげ委員長。


 巻中カラー「黒神」
 やっぱり話の繋げ方や、構成力には難ありだなぁ。主人公のドキュン度を抑制するエピソードを挿入してみました、という以外、見かけの話が進まなかった。


 「戦線スパイクヒルズ」。
 「カーンチ」「ベビーブーム世代で平均倍率が上がってるのに」というスウガクのセリフに、そういえば年代設定が91年だったなと思い出す。身の丈の革命というか、僕らの7日間何とかというか、スウガクがたくらむ受験問題奪取作戦が青臭い危うさをかもしていて、ドキドキする。


 「荒川アンダーザブリッジ」。
 最終ページのニノは、ちょっと可愛かった。


 「バンブーブレイド」。
 新キャラ、鞘子の話。こういう一本気な性格の娘の投入は正解だろう。ここまでヤンキーっぽいサブキャラが多かった分、すがすがしい。



 次号以降も新連載が続々。7月第1週発売の14号から登板する、猫井ヤスユキ猫井ミィ。「Drop☆Kick」のタイトルで連載開始。同誌でのエロマンガ家からの登用は、短期集中連載はあったけれど、本格連載は初めて。というか、猫井ミィの商業誌連載が初めて。
 単行本は、商業誌未発表作=主に同人誌からのより抜き傑作選に加えて作家インタビューや豊富なカラーページで凝ったつくりが特徴のすずらんコミックスから、1冊を出したのみ。
 告知イラストはもちろんカラーなんだけど、同人のモノクロ原稿は作風として“白い”イメージ、トーンを使わないイメージが強かったので、商業誌に出てくるにあたって描き込みを強めてきてくれると、もっと一般受けしてくれると思う。期待。