今日の年上の女性(ひと)
今日の昼時、横浜のあるビルの下りエレベータ。途中の階で、よれたワイシャツとネクタイの男性、厚手で大きめの桃色のエプロンをつけた女性が乗り込んでくる。
階ボタンのパネルの前で、20代前半に見える男性がため息を一つ。
見た感じ30代前半の肌だが、小顔で快活な笑顔に染めてないショートカットがよく似合う150cmくらいの女性のほうが「なーに、ため息なんかついてるの」。
「そうですよね……」。
「ため息ついたって始まらないでしょ?」。
苦笑いする脳内想定新人クン。女性はあくまでほがらかに。
「ため息つきたいのはこっちなんだからね!」と言葉は強く、しかし調子としては励ましを込めたそのセリフといっしょに、右手を拳銃のカタチにして男性を指差しながら、上下に二度、“うぃんうぃん”という感じで振る。
そこで扉が開き、先頭に立つ女性に促がされるように降りていく2人。
胸のうちで爪を噛みしめる思いで見送る。めっ、されたい。かわしまりの声で。