「タイガー&ドラゴン」効果だねぇ。

 落語好きの友人に誘われて新宿末広亭(http://www.suehirotei.com/)の毎週土曜夜9:30〜の「深夜寄席」へ。500円で入れて、二ツ目噺家4人が古典や創作の落語を披露する。
 5年くらい前、池袋でやってる二ツ目勉強会(http://www.rakugo-kyokai.or.jp/futatsume/futaben.html)が1,000円なので、たまに行ってたものだけれど、それ以来。そのときは、林屋ひこいちが抜群に面白く、半年くらいして真打にあがっていった。

 満席の盛況。土曜の夜、新宿、500円と敷居は限りなく低いとはいえ、噺家としてはまだまだの二ツ目の落語をわざわざ聞きにこれだけ集まるというのは、通常ならありえない。今日は、9席×13列に、両サイドの座敷席約25〜30人、合わせて170人〜180人くらい。
 1年前にきたことがあるという友人の話だと、そのときは20〜30人くらいだった、と。「こんなに混んでるならこなかった」と愚痴られる。若い女性も目立つ。あきらかに例のドラマの影響。開始間際に入ってきた常連らしき年配の男性が、埋め尽くされた座席の左右を右往左往していた。8月いっぱいくらいは、この調子が続くかね。


 出演者と演目は以下。

  • 林家久蔵……貧乏な大工の長屋に泥棒に入った男が逆に質だなの金を出してやる羽目になる
  • 金原亭小駒……花火の場所取りでごった返す橋の上で職人と侍一行が立ち回り
  • 林屋ぼたん……本妻と妾の家をちょうちんを持った使用人と行ったりきたり
  • 柳屋三三(さんざ)……旅の途中で助けて別れた大店の主人が亡くなったのを自分と勘違いされて嫁が別の男と結婚してしまう


 女性の噺家はこれまでうまい人にあたったことがなかったんだが、初めて聞いたぼたんは、まぁ、いけた。
 小駒は、話に入る前の枕で時事ネタあり、歌舞伎の(笑)。
 久蔵は、渇舌がいまいち。聞き取りにくし。
 三三は、もうすぐ真打にあがるだろうと、4回ほど観ているという友人談。確かに安定感が他の3人よりはあった。時間が押していたらしく、枕をはしょったり、後半5分ほどが駆け足になっていたけれども、全体としてうまく盛り上げていた。



 例のドラマの影響で客足が増えることには、肯定も否定もない。というか、二ツ目の若手にとっては喜ばしいことだろう。500円の木戸銭でも170人入れば、85,000円。末広亭にショバ代を払って残りを4等分なら、いい稼ぎになる。何より、大勢聞いてる前で落語をやるほうがいいに決まってる。
 そして、3人目のぼたんが話してる途中、何時頃に終わるのかを確認しようと思ってふと気付くと、ここまで一度も誰の携帯も鳴ってない。そして4人目の三三が話し終わるまで結局、一度も鳴らない。これは、ちょっと感動した。ホントに。