エロマンガ IS DEAD (OR ALIVE) 4

 1部は所用があったため、22:00頃スタートした2部から参加。2部以降に壇上にのぼった出演者は以下(敬称略)。
 山本夜羽音宮台真司、ダニエル兼光、平野裕二、武田明恵米澤嘉博昼間たかし着物で髭の男性は名前を失念(後ほど追記予定) 日野日出志


 以下、50歳代以上を一絡げにするな、という着物の男性 日野氏に、世論を支えているボリュームについて話しているんです、と返した宮台氏のいなし方に、さすが場慣れしたもんだななどと感心したりしていた、2部から。エロマンガと直接には関係ない話が続いたため、記録は少ない。

  • エコノミスト(http://www.economist-japan.com/2005/20050806/cont.html)。米におけるヒラリー議員らが主導するビデオゲームバッシングについて、世代間対立の問題と一蹴。上の人間がいなくなれば、収束する。かつて映画もそうだった*1
  • 市民の不安を煽る→「俺にまかせとけ!」と侠気をアピール、という人心掌握術(例:石原、小泉、ブッシュ、神奈川県知事)
  • オブセッシブ(強迫的)な都市社会で神経質になった市民がネオ保守主義の下、規制強化を求めることで心の安心を手に入れようとする(大意)
  • 地方を基盤として利益再分配を受けてきた旧保守は、根本のところで自分たちの酒池肉林を優先するため、わりかし寛容
  • 「マンガキセイヤメテクダサイ。マンガキセイヤメテクダサイ。マンガキセイヤメテクダサイ」

 次に深夜の3部、4部から。20人もいない客席を相手に、テーマは飛び飛びながらも、興味深い話や意見が出た。ちなみに3部以降のメニューは、カウンターで直接注文の現金払い。客席からの質問タイムが豊富に取られる(というか、ほとんどオフ会に近いノリ)。

  • ゾーニング問題。見たくないものを見なくてもいいように区分けする。自主規制で。では、そのガイドラインをどこがつくるのか
  • エロ媒体のゾーニングによる住み分け、エロ媒体へのアクセスにハードルはあっていい。けれども、それを乗り越えてくる“勇者”には、与えられてもいいのではないか
  • いい加減さ、ゆとりは大事
  • 産業経済省
  • 経済産業省コミケ取材を許可。優秀なコンテンツを生み出す文化としての調査を目的
  • 宗教的象徴などのマンガにおける描写について、編集部による配慮という名の自主規制。そこに根拠はあるか。右翼の電話1本、はがき1枚でも出版社はもしきたら、と結構気にする。マンガ家はたいていは譲るけれども、譲れないときもある
  • 俺のマンガはドイツで受けそう
  • (ハードレイプエロマンガなどの巻末に)“レイプは犯罪です”といった断り書きは必要ないのではないか。そういったマンガを嫌悪する人にとって、断り書きの裏に透けて見える後ろめたさが格好の攻撃材料になる
  • 痛みや屈辱が快感に変わっていくというシチュエーション→ありえない・女性軽視という見方
  • 痛みや屈辱を徹底的に描くシチュエーション→快感転化という“ファンタジー”よりは、フェミの賛同を得やすいか。あるいは、快感も痛みもマンガである以上すべからく“ファンタジー”であるという見方
  • 米では、70年代に構築されてきた作品=作家そのものとして読み解く作品論、作家論が、まだ根強い。日本は、作品と作家は別物として見る傾向
  • 女性エロマンガ家と作品の中身→妄想する楽しみ
  • エロマンガの感想は「エロいエロくない」「抜けた抜けない」以外、何を語ればいいの?
  • ショタ作家……上連雀三平(バーコードファイター)、すえひろがり(乱交)、陽気婢(マッシュルーム)、猫玄
  • ほとんどのエロマンガ家の寿命は3年
  • 消えたエロマンガ家の靖国神社をつくろう
  • 印税6-8%
  • 小口シールは1枚あたりのコストは3円。*2問屋のおばちゃんが一人で作業。1枚から3枚に増量検討?
  • ゾーニング事情。「ハードコア」ゾーン(性器結合OK)の存在。シュリンクはされてるが、立ち読み用の見本アリ(『ハスラー』などのメジャー誌に限る。マイナー誌は見本なし)
  • シュリンクの必要不必要は、表紙の過激さではなく中身の過激さで決まる
  • 日本における出版流通のコンビニの牛耳り度=米におけるウォルマートの牛耳り度
  • 荒川の東の本屋にはエロ本が極端に少ない?
  • 巣立っていかないコミケスタッフ
  • コミケ68の○○○○の○○を担当した○○○○○のバス共通カード作成を、都バスが拒否。○○○○○怒る。露出過多判断? 貧乳だったら良かった?
  • 東京都生活文化局消費生活部生活安全課の新任担当者が、個人判断で出版社を呼び出し。コミケにも出張
  • (わいせつ性、違法性などの)グレーゾーン。出版社と警察が調整をとりながら。米はいきなり検挙。その違いをどう捉えるか
  • コミケより○○○○○に卸す同人誌のほうが消しが薄い? 警察の眼。90年の有害コミック騒動の端緒との相似性
  • 同人誌委託専門店などの増加→海賊版・転売・壁サークル行列などの問題の一部解消。一方、商業誌との住み分けが限りなく曖昧に。アキレス腱化する不安?
  • 「実写よりはわいせつ性ない」(松文館控訴審判決)。マンガのエロと実写のエロとで業界に軋轢?
  • 米「新バーチャルポルノ法」の違憲判定。しかし、旧法から新たに追加された“わいせつな”の定義ゆえ、違憲判定なくとも脅威にはなりえず。わいせつ=ポルノは、米ではもとから違法。違法なバーチャルポルノをさらに違法とする屋上屋。ポルノとの判断ラインもとても厳しい
  • カスパルは痛い団体
  • 野田聖子たん、ジュベネイル・ガイドはもう信用できない?
  • 対話を!

 細かい感想はまた明日以降に。


 27:30終了。

*1:参考:弁護士山口貴士大いに語る: 松沢知事はエコノミストの記事を読んだのでしょうか?

*2:コンビニエロマンガ誌の代表格であり推定発行部数10万部前後(月刊『創』6月号特集より)の快楽天で見た年間のシールコストは、3円×10万部×年12回発行=360万円。これだけの余計な販管費が版元、あるいは取次ぎ、あるいは書店にのしかかる。書店のカウンターの横によく設置してあるシュリンクをかける機械だって、結構な値段がしそうだ。