ヤングガンガン 18号*1
今振り返れば、12号のカラー予告ページで「連載再開間近!! 詳しくは次号で!!」と煽っておいて、次の13号のモノクロ1ページの予告説明が「ストーリーとビジュアルを格段にスケールアップし…」「満を持して、今秋再開へ!!」という具体性に欠けた文句でしかなかったことは、多少なりとも暗示をさせるものだったのかもしれない。
6月第1週発売の号で、秋再開の告知を入れるのはなんとも時期尚早というか気が早いことだなぁと思ったことも、気の回しすぎではなかったということだろうか。
もしくは12号〜15号にかけた新連載攻勢予告を、さらに勢いづかせておきたかったのか。
月1掲載を休載しがちだった「化野之民」の14号での長期休載報告は、1ページを使ってきっちりお詫びを告げていたが、それに比べると、目次ページの左下という片隅でひっそりと報告された今回の連載中止は、中止という事実自体はてぐすね引いていたこちらのダークサイドな期待を裏切らないものだったけれども、あまりに素っ気無さ過ぎるのではないか、とも思う。
バウンドは雑誌そのものが黒歴史となったが、二度目の青年誌挑戦となるヤンガンは、スクエニのお家芸であるはずのゲーム原作のコミック化が黒歴史に。
さようなら、FF11マンガ「THE OUT OF ORDERS」。
長々書いてしまったが、けれど、今のヤンガンにこのマンガがどうしても必要だったとかと言えば、別にそうではないだろう。連載時のストーリーの繋がりのひどさや違和感の残りまくりだったバトル描写についてはもう具体的に繰り返さないが、その質の低さから予想される貢献の程度を除けてFF11というネームバリューだけを言っても、現状のオリジナル主体の誌面構成にはほとんどマッチしないと思われる。前号までやってたスターウォーズイラストのような、企画モノとしてならともかく。
今後考えられる影響として一つ付け加えるのなら、スクエニが着手し始めたばかりの韓国作家の本格登用という面でマイナスの前例にならないだろうかというところくらいだが、ヤンガン連載中の「黒神」が原作・作画担当を、サイン会で初来日させるほどブレイクしていることを考慮すれば、杞憂であるだろう。
……しかし、「作者都合により」中止ってのは、編集部に都合よすぎないか? 企画協力のクレジットを出してた今村圭という人は、最後まで面倒みてくれてはいないの? もしくは、こういう記事で一度持ち上げた朝鮮日報には是非、韓国作家の日本市場進出における明暗の部分といった切り口でも取材して欲しいもの。
♯
「黒神」。
「母さんみたいなんだ…」。急展開、急展開! というか一話冒頭で死亡していた母親のドッペルライナー、ということなんだろうけど、みんなそのあたり覚えてる? 主人公とクロが出会った必然がここにその一端が明かされたわけだ。
「ドラゴンズヘブン」。
こっちも急展開! ワーニング! 兄貴に麻薬疑惑が。ところで原作者の人、伏線って言葉は知ってる?
巻中カラー「バンブーブレイド」。
カラー見開きで、5対5の対抗戦選手が一堂に。この手の絵柄で全員誰が誰だか見分けがつくというのは、よほどこのマンガお気に入りになってきたらしい。敵側5人のキャラの性格分け役割紹介がうまくできてる。
「死がふたりを分かつまで」。
なんかタイトルが大仰過ぎる気がしてきた。冒頭3ページの意味深な感じのナレーションも、分かったような分からないようなもどかしさだけが残る。本編は、別部隊登場で、新たな展開。予知能力をもつ少女に対するグラサン座頭市の本心のほどが量られる次回へ。
巻中カラー「セキレイ」。
カラー1ページ目左下の乳首が、ものごっつい理想乳首。なんというか、育児書の挿絵として使えそうなくらい自然。これにエロを感じるのは冒涜だろう。自分にとってのセキレイは、長い長いプロローグを終え、この話から本編が始まった。
巻頭カラー「すもももももも」。
なんで主人公ってのは、一般の価値観から見てダサかったり枯れてると思われるような趣味をもってて、それをじゃけんにされるとキレる、という類型を設定されがちなのか。
「荒川アンダーザブリッジ」。
いいね! ニノのスク水にクールダウンしていくリクルートがいいね! それから、この回に限らずの注文として、リクルート以外に1人以上のツッコミ役のキャラを毎回出しておいたほうが、ツッコミがパターン化しているように見えづらくなるのでよろしいのではないか。
「Sled Head」。
夜の街で篭の鳥になった主人公らのバイクトリオ。血が出過ぎ、脳漿飛び散りすぎ、なのは描かれたままなのだが、それほどグロな印象は強くない。これは嗜好の問題かなぁ。まだテンションを維持したまま次号へ。