上の部屋は老夫婦が一番。

 川口駅から徒歩12分のアパートに引っ越した友人を冷やかしに行き、自分の今の部屋と同じ家賃でこれだけグレードアップした部屋に住めることを見せつけられ、逆に焦燥を募らせられる結果に。とりあえず、沈まない畳と膨らんでない天井と洋式トイレは、手に入れたいと強く胸に秘める。


 しかし、熟しても川口。何度転がっても川口。今の部屋の交通の便と引き換えにするには、まだ覚悟が必要。ヤンキー多そうだし。新居のアパートの前の商店街は夜の9:00を過ぎるとあたかもゴーストタウンのよう。なぜ、荒川を越えるだけでこうまで別次元が広がる?


 それに、川口駅前で近辺の図書需要を引き受ける書泉ブックドーム。2Fのマンガフロアのやる気のなさは、さすがに躊躇させるものがある。一通りの品揃えは整っているが、フロアの広さが逆に災いしているのか、空疎な印象が、フロアの4隅やコミック文庫コーナー、ゲーム攻略本コーナー、あたりから漂ってくる。なんだか安い。そう、安い。全体に安い。


 これが川口クオリティなのか。池袋から14分、秋葉原から25分たらずの街のはずなのに、そこはかとなく漂う地方の書店のにおい。専門色の薄さ、独自のカラーリングを放棄した、積極的に打って出ようとしないその姿勢。



 自分が地方を苦手なのは、全方位的にあろうとして、雑さばかりが際立つ、このなんともいえないどよどよとした雰囲気が、なぜだか悲しくてしょうがなくなるときがあるから、なんだと思うよ。(確認?)