少年シリウス 12月号


 まず、次号予告から。
 1月号(http://www.sirius.kodansha.co.jp/next.html)からタイトル題字が変更。今号までの丸みを帯びた若干細めのものから、角の付いたかっちり系の一見、ジャンプ?と見紛うようなものへ。
 5月の創刊から半年。動きが早い。

 値段は500円に据え置き。女性読者人気の高そうな「アヴェンテューラ」ポストカード4枚が付録。そういえば、創刊号も一部書店はカードをつけてたところがあった(自分は創刊2号で、シュリンクの内側に封入されてた2枚が初見。多分、創刊キャンペーンで余ったのだろう)。
 次号最終回は、「はりだま退魔塾」「21世紀番長」の2本。特に感慨もなし。短期集中連載予定だった……と考えるには、ネタや設定が小出し気味だったので、順当に打ち切りか。
 次号の新連載は表紙・巻頭カラーで神宮寺一の「ZERONの火蓋」。超巨弾新連載と銘打った見開き予告ページが、シリウスの現状の認知度からすると空回り気味なのが若干気になる(これはヤンガンでもよく思うことだが。冷静に誌面の有り様を見渡そうとして抑制の利かせ方を思い悩むよりは、全開で煽ったほうが楽なのは楽)。


 次に今号。
 まったく読んでなかった小説「トリプルプレイ助悪郎」と、ターゲットがずれてたか?の「Double Cross」が最終回。
 創刊号のテレビCM(http://www.sirius.kodansha.co.jp/special.html)で広報されていたオリジナルマンガは「ロボとうさ吉」のみで、ほかは小説原作2本、小説2本。指吸孝一編集長は読売のインタビュー記事*1ラノベテイストを織り交ぜていく方針を打ち出していた。

「基本はファンタジー漫画+ライトノベル。漫画も小説も両方読む、活字好きな男の子、女の子を意識しています」。

 一方、「トリプル〜」終了後の枠を埋める新たな小説の予告は、今のところナシ。
 マンガ読みとしては、読まない小説コンテンツがなくなってその分、オリジナルマンガやあまり活躍の場をメジャーで与えられていない作家の登用に力を入れていってくれれば、それはうれしいことだ(また、正直、マンガ誌の紙質で物語を読むのは、文字を追うのがちと辛い)。
 オリジナルでなく、「電波少女蘭」や「僕と未来屋の夏」のような、児童文学の原作付きを始めるのでも、歓迎。創刊時は目に留めてなかったが、読んでみれば2本とも面白い。小説原作のマンガの成功例を、ウルトラJの「皇国の守護者」やチャンピオンREDの「シグルイ」、イブニングの「餓狼伝」などのハード方面に偏らせていた自分の懐の狭さもあった。来年開始予定の「銃姫」のマンガ化も素直に期待。




連載再開+表紙・巻頭カラー「魔法使いのたまごたち」。

 休載を挟んだ今回、多少はストーリーが動き出したように見える。ページ数を倍にしてもらえれば、腹7分目くらいにはなりそう。というか、この丁寧というかじらされ具合は、原作の雑破のせいか。

「ロボとうさ吉」。

 兎星人のセレノイドが、軍側の幹部にも登場。銃弾を足で蹴り飛ばす。作者の加藤は、親父好きなのか格闘アクション好きなのか。ロビン側のチビ親父もそうだが、準主役格に配置した親父たちが(兎だけど)生き生き。自分の意識を支配しかねないネジを逆に利用して仲間を助けようとロビンが意思を固める展開も、読み応えがあった。

「ソウルメイトツーリスト」。

 257Pの、幽霊相手に平手を打った眼鏡ヒロインの泣き顔が、とてもとてもとても。いつまでも眺めていたいと。単行本購入決定。

「僕と未来屋の夏」。

 「かみちゅ!」に萌えてた人は、こちらが単行本になったら買ってみてはどうか、と薦めておく。懐かしい味わい。児童文学原作のマンガ化の一つの理想形に近づいている。

「アヴェンテューラ」。

 スケルトンを足場にとんぼ返りするシーンなどに、マンガ作画がこなれてきた印象。もうちょっとネームを整理してもらえると、さらに読み易かろ。でも、次号はまた休載……。

「Dear Monkey 西遊記」。

 道中を連れ立つことになった薬売りから、4人それぞれが欲しい薬を入手→アクシデントで他人の薬が自分の手に。古典なネタから、悟空が生みの親の妖怪から警戒される理由をそれとなく示唆する展開へ繋げていく。そのあたり、前回ほどの上手さは感じなかったが、それでも良レベル。
 最終的に薬売りの母親が助かっちゃう方向へもっていったのは痛し痒し。悟空が戦ったことにともなうリスクや意味付けが、小さくなっちゃうので、悟空の人間に対する優しさが、妖怪たちが警戒せずともいずれ自滅に至るような弱い力、というふうにも捉えられるから。まぁ、このあたりは物語に求める“座り”のあり方によるのかもしれないが。
 それでも、テンテン誘惑モードやカッパ師匠のマッチョモードは充分、堪能させてもらいました。

怪物王女」。

 長野かどこかっぽい避暑地の湖畔で、半漁人の群れが焚き火の櫓を囲んで踊り、巨大半漁とワーウルフが決闘って、どんなマンガだ。

「乱飛乱外」。

 ちっ、3人目は男か……。

「もえちり!」。

 北斗の拳ネタは、あくまで全体の調子を整える隠し味。今号はこちらに尽きた。堂高のマンガでおそらく初めてと思われる「俺の空」ネタ。
 女子少年院の女囚に拉致られ逆輪姦される話より、両手両足を固められた一平の股間を一番乗りで騎乗位FUCKした女アースクエイク((C)サムスピ)が、少年院繋がりでマンモス西“子”に改名して登板。「腹すかしとるやろ」「ネジリンボウでも食わしたり!」。
 20歳を超えて「俺の空」を読んだ自分でさえプチ虎馬になりかけたのにと、堂高がこれから全国の中学生に対して背負う業に思いをはせる。
 しかし、ここまでやっても、少年誌の看板を下ろすつもりはないのか、シリウス。それとスポンサー募集は立ち消え?

シリウス第1回新人賞入選作「巫女的CHILDPLAY!」(瀬川サユリ)http://www.sirius.kodansha.co.jp/33.html

 全体に詰め込み過ぎなのに説明の足りなさもところどころで気になったりと、不安定な作品だが、学んでいける範囲のこと。自作に期待。

*1:小川彌生のコメント「純粋に読者として読みたい」。「BAROQUE」休載しまくりますを事前に宣言。