「ヴィオラートのアトリエ きてれつ村おこし」(越智善彦) BROS.COMICS EX


 今号のシリウスは「海の人」(http://www.sirius.kodansha.co.jp/30.html)が休載。なので欲求不満をこちらにぶつける。


 越智の最新刊。残念ながらオリジナルではないが、それを補って余りあるのが、越智の丁寧な描き込みをフルカラーで読める幸せ。
 ちょいと太めな描線を隙間なく並べる髪の毛などの表現は、モノクロだと時に重くなりがちだったりするところ、色が付くと途端、ぱっと絵全体に軽やかさが広がりだす。
 ゲーム誌に連載された毎号5ページの読切をまとめたものなので、ちょっとぶつ切り感。また、ページ数が奇数なので、各話の最初、左ページに空白ができてしますのが、ちょっとページをめくるテンポを崩すが、慣れろ。
 村に療養のため越してきた病弱の格闘少女と出会った見習い錬金術師のヒロインが、床に臥せってしまった彼女を助ける薬の原料を求めて、森へと。ゲームの設定を消化する風なやりとりが、ゲームを知らない自分には少し障ったが、物語の骨子は、少女たちが育む友情、といったものでなかなか楽しめた。


 もう一度。フルカラー作品が待ち遠しい作家の、数少ない一人である。