機動戦士ZガンダムII ―恋人たち―(総監督:富野由悠季)


 予想通り、新宿ジョイシネマ2の14:05の回上映前の舞台挨拶は、1時間前到着程度の見積もりでは、整理券を獲得できるはずもなく。しょうがなく3時間の暇をつぶして、16:20の回。


 前人気の高さを受けて、緊急にジョイシネマ3でも上映枠追加。その3で14:30の回もあったが、小雨の中を外で並ばせられるのを嫌った自分。というか、枠追加のために上映数を削られた「アラハン」の立場は。


 予告無し。いきなりスタート。


 夕焼け(夜明け?)の空に浮かぶアウドムラを背景に、「恋人たち」のタイトル。黒一色の宇宙空間がバックだったⅠよりも、チープさが薄れる。良い感じ。


 ファーストカップルとして、ベルトーチカアムロにズームイン。可愛くない女と大人の付き合いで誤魔化そうとする男。


 「ゆかなフォウ」に違和感なし。ユリ役、しのぶ役もできそう。


 最古ガンダム。箱型形態は、やはりラムセス2世の坐像。


 メタスは、いつ見ても弱そうだなぁ……。ぽきっと折れそう。


 池脇千鶴サラ。なるほど、小悪魔っぽい。


 レコア。おねだりしたキスの後、シャアが去ってから独り言で「サングラスは外してくれないか……」。フォウとカミーユベルトーチカアムロのキス、3組のいずれにおいても、一方的でいて最後には不満げな女たち。しかし、いまどきのアニメのように幼さゆえではない。「坊やだからさ」の指摘は、カツ(対サラバージョン)だけが背負う。幼いファは、互いのヘルメットでキスできないカミーユと顔を見合わせ、笑い出した。さすがにおばちゃん笑いではなかった新井里美


 一部の観客が、ヘンケンのエマへの萌え萌え振りに失笑。お前ら、そういう自己主張は、わざとらしい。


 愛しい人を2度もカミーユに殺られてしまったジェリド。おそらくテレビ版からもっとも扱いが変わってない登場人物だろう。一応、カミーユのライバルという位置づけを与えられているはずなのに、テレビ版と比べたカミーユの成長に比して、彼のへタレっぷりのそのままさ。


 「恋人たち」という副題、という補助線に沿って読むことで、富野監督の幻惑的なセリフ回しを、かなり噛み砕いて咀嚼できた。


 「(私の恋人の)アムロの迷いはあなたのせいよ!」と嫉妬心を絡めて突っかかるベルトーチカに対して、「(お前、うざい)」という答えをかなり遠まわしに伝えるカミーユ。このシーンをわざわざ入れてきた演出判断を評価。というか、このシーンはテレビに会ったんでしょうか(新作画だったのか旧作画だったのか、ド忘れ)。


 ラスト、上下がないはずの宇宙空間で、あたかも天空から降り注ぐようなビームの一斉正射。Z登場MSの中で断トツのかっこ悪さを誇るガザCに乗って、桃色の髪の人登場。榊原良子の声が響き渡る。ゾクゾクであった。Ⅱの締め、Ⅲへの引き、としてこれ以上ない形。


 エンドロール後、Ⅲの予告。もしかしたら、ラストのカミーユのパントマイムはやらないんじゃないか、という気がしてくる。もし、そうなら、確かに新訳と言えるだろう。



参考:公式サイト「星を継ぐ者」感想