旧シード連載の「しこたま」(鈴木典孝)がどれだけ楽しいマンガか書こうとしてたのに、前段が長くなりすぎ。


正直、双葉社が拾いあげるとは、まったく予想してなかった。ケータイやWEBのマンガコンテンツ発信は以前からやってたようだが、それにしても意外。
もっとも黒字部門を増やせるという観点から見れば、看板雑誌のアクションがアイドルグラビアを始めたりちょっと迷走な感じもあるマンガ事業を手堅く補強できると言えるのかもしれない。コミックシード!は単行本売上で全体は黒字だったようなので。それが作家や作品の力なのか事業モデルとして成立した上での黒字なのか、熱心な読者でなかった自分には正確に測りかねるけれど、リリースでは作家の大半を引き継ぐということだし、おそらく編集者もそのまま在籍していると思われるので、ぺんぎん書房時代と大きな変更がなければ、そのまま黒字発進できるという目算なのだろ。シード関係の債権(=未払いの印税だったり)はぺんぎん書房双葉社のどっちで処理をつけたのか興味本位で気になるなぁ。
新生シードの編集長に座る野中郷壱という人はコミックハイ!の編集長ぺんぎん書房社長の平田伸行氏は当然ながら名前が出てない。コミックハイ!を1人で編集しているという野中氏がシードまで手が回るのか不明だが、元からいるシード編集で回していけるのではないかしら。
新生シードになって、旧シードで必須だったプラグインソフトがなくなるようだ。旧シードの、変な青い垂れ耳犬のアイコンは、常駐させるとモニタ上でちょっとうざったかったし、これは歓迎。
ただそういった改善点や新しい作家、新連載で「創刊時には『旧COMIC SEED!』の月間読者数7万人を倍増、15万人の読者獲得を目指します。」という目標にどれだけ迫れるのかは、さてさて。
シード復活をとりあえず喜んでいる声をネットではよく見かけて、それは、きづきあきら石田あきらといった人気作家の人気作がまた読めるということなんだろうけれど、それが「シード」という媒体で読めるからなのか「シードコミックス」の単行本が続巻されていくからなのか、いまいちつかみかねる。
自分は、パソコン画面上で読むのはやっぱりつらいんだよなぁ。それがタダでも。ページめくりのクリックが本気でめんどくさいし。ワッ、と迫らない。
なんとくなく言うが、ページをめくる、という形式をとっている限り、WEBコミックの裾野が広がることはないと思う。モニタ上でストレスなく読むことに、まったく適してない。けれども、WEBで無料閲覧→紙の単行本で利益を出す、という収益のスタイルをとる以上、マンガ雑誌をそのままWEB上にもってくる形をとるしかない。
最終的にもっとも利益を出す媒体の有り様にコンテンツが縛られるしかないのであれば、「コミックシード」がいくらWEBコミックを名乗っても、紙出力に最適化した表現形式から抜け出せないので、閲覧ソフトの改良も見心地も限界が見えてると思うのよ。
なんてーか、コストの問題、出版社の台所事情に貢献する以外のもの、読者を利するものが出版社主導のWEBコミックからは受け取れないんだなぁ。




参考:新生シードHP旧シードについて その1旧シードについて その2