まんがタイムきらら フォワード Vol.1

初芳文社買い。



萌え4コマで破竹の勢いと風の便りに聞くまんがタイムきららから「ストーリー誌登場!」とのこと。今日、コミック高岡で平積みにしてるのを見かけたので試しに買ってみた。芳文社の雑誌を買うなんて初めてだぁねぇ。


15、16年前くらいにさ、サイバーパンクの流行がマンガにも押し寄せてた頃か、エロマンガ系出版社からその手の増刊や特別号がよく出てたような記憶がうっすらとあるのね。記憶違いかもしれないけれど。そんな臭い。あるいは、エロマンガの増刊によくもよおさせられる感覚。突貫工事の。エロなしのエロマンガ雑誌というか。そう。「キャンドール」あたりからエロを抜いて電撃帝王のTASTEを一つまみ、というか。
450円で13本載っていて気楽に読めて、そこは4コマの古株出版社らしい味付け。13本中読めるレベルにあったのは下の6本。それでも新創刊で4コマレーベルが初挑戦するストーリー誌ということで、だいぶおまけして。季刊ペースで次の発売は7月。隔月くらいでもいいかな。思い出したように出てるのをあー出たんだと平積み棚で見つけて気軽に買う、そんな感じで。






表紙・巻頭カラー「オニナギ」(石田あきら

最近PS2ゲームの「アカイイト」を始めたんですよ。半年前くらいにソフトを買ってたのを思い出して。というかFF12やりたくなかったんで。その中でボク声優が声をあててるセーラー服で鬼退治する女子高生が出てくるんですけどね、それに主人公の人がそっくり。主人公の人が一般人の女子高生を助けて、だけどその娘にも異能の力があってというところも。
つまり、定型を描いただけで次回まで3ヶ月も引っ張るのはどうかと思うという。

「Rustybloom」(こよかよしの)

“錆花”と呼ばれる巨大植物によって閉鎖された鉱山にやってきた出張看護婦と、彼女を毛嫌いする工事で唯一人生き残った少女との出会いの物語。“錆花”が繁茂する理由に触れるシーンとそこからのアクションの絵面の流れがちょいと分かりにくい。結局、少女に起因していた繁茂の理由をどうやって看護婦が解決したのかさえよく分からない。看護婦の人の行動が問答無用過ぎるのも減点。キャラクターの表情は他の連載作品と比べて魅力的な部類に入るので、それを生かしつつ次の号ではストーリーをもっと練ってほしい。

ドージンワーク」(ヒロユキ)

他の雑誌で連載中の4コマ版を知らないとあまり楽しめないのかもしれない。けれど、相手の思惑を勘違いするギャグを4段ほど重ねたムリヤリさは、かなり買う。

「VS 御主人様」(大井昌和

流れのプロメイドといった風の女性がとある怪しい屋敷に自分を売り込んで……。「稀血」って一般名詞か? この単語が出た時点からいきなりストーリーが別の次元に入っていくような唐突さがある。こーいう謎めいたストーリーはそれはそれで続けていくとして、シリアスよりでなくてギャグを絡めていったほうが合ってるような気がするんだよなぁ。アバウトな物言いだけど。

「サイコスタッフ」(水上悟志

下駄箱の手紙で体育館裏に呼び出されたら宇宙からきたと名乗る少女に超能力を使って私たちを助けてといきなりコクられる受験生。こちらも石田に負けず劣らず定型だが、一応、猫目少女のパンツを見るところまで話を進めてるので消化不良感はない(笑)。アワーズではまだ頭角を表してきたくらいの位置にいる水上だけれど、さすがにこなれてて読みやすい。

「三つ子の魂お化けまで」(左)

ペンネームは「ひだり」と読む。
事故で死んだ女子高生が幽霊になって親元や友人や学校を回って、けれどもう居場所はないんだと成仏しようとしたところ……。死んでしまってから、自分の幸福さやいたらなさを気づくという物悲しいテーマに対して、ラストはほんわかしたまとめ方。成仏せずに幽霊として生きていく彼女“たち”に良かったねとは言いたくないのだけれど、これからの幽霊ライフを後押ししてあげたくなるような不思議な読後感。自作が読みたい作家。