昨日、補足されちゃったかなぁ。

  • ESPIO: 成立目前!それでもTVが共謀罪を取り上げない理由

 http://espio.air-nifty.com/espio/2006/04/post_83f2.html

 本を読んで時間を潰して、5時30分ころに弁護士会館に出向いたら、案の定「公安」(公安警察官ないし公安調査官)が複数いた。
 場所柄、ジャンパー姿の公安ルック

 http://espio.air-nifty.com/espio/2005/10/post_ab71.html

ではなく、スーツを着用している。本来なら筆者が姿を現した時点で直ちに面割して気づかないといけないのに、お互いに挨拶してメモ片手に散開するので、周囲に溶け込もうとしてもすぐにバレてしまうのである。日比谷公園で前を歩いているスーツ3人組がどうも公安の臭いを放っているなと思ってみていたら、やっぱりビンゴだった。ざっと見ただけでも会館直近に10名ほど。
 昔の筆者なら相手のすぐ目の前でフラッシュを焚いたと思うが、他に仲間もおらず、無用なトラブルを避けるため弁護士会館の中から撮った。ガラス越しのせいか、ボケボケの写真になってしまったが参考までに掲載しておく。
 こんなふうにカメラを向けると、後ろを向いたり、木陰に隠れたりするのである。

 http://homepage3.nifty.com/argus/nichiben-kouan1.jpg
 http://homepage3.nifty.com/argus/nichiben-kouan2.jpg
 http://homepage3.nifty.com/argus/nichiben-kouan3.jpg
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 いずれにせよ、相手が民主党代表代行だろうが日弁連だろうが、国会議員だろうが弁護士だろうが、お構いなしなのだ。

 http://www.dpj.or.jp/news/200604/20060426_09kyoubou.html
 
 以前にも指摘したが、反対集会そのものが情報活動の対象になるのだから、もはやオシマイである。

公安なんて二葉亭四迷



それから、4/25放送の「報道ステーション」で取材を受けるときに用意したメモを公開しているので転載させてもらおう。元公安から見た、共謀罪が成立した場合にどのような運用が警察組織によって行われることが考えられるか、について。以下、下線は引用者による。

■共同の目的とは?―対象団体の範囲
・修正案でも限定されない。国会審議を見る限りケース・バイ・ケースの適用。
本気で暴力団を潰すのなら、対象を指定暴力団に絞って、条約で言う「参加罪」を選択したほうが有効では?範囲も明確。

西村眞悟に対する組織的犯罪処罰法(不正収益の収受)の適用
組織的犯罪処罰法はもっぱら暴力団を対象にするという触れ込みだったのに、弁護士・国会議員にも拡大。
・株式会社にも適用。
・組織内組織、非公然の組織にも適用。(国会答弁)
・必ずしも共同の目的が違法である必要はない。下部組織にも適用される。「組織的犯罪対策関連三法の解説」に記載。発行は財団法人法曹会。執筆者は法務省刑事局刑事法制課長。要するに立法者の見解。
・政治、宗教、市民団体も例外ではない。たとえば、NPO、NGOを隠れ蓑に暴力団が活動したら検挙できないのか。

■何にせよ犯罪があるのなら取り締まればいいのでは?
・その犯罪があるかないか分からないのが共謀罪の最大の問題点。というのも結果(犯罪の実行・着手)がないから。「共同の目的」の有無・内容は当局の恣意的な解釈に委ねられる。
破防法5、7条と比較せよ。「団体の活動として暴力主義的破壊活動を行つた団体に対して、当該団体が継続又は反覆して将来さらに団体の活動として暴力主義的破壊活動を行う明らかなおそれがあると認めるに足りる十分な理由があるとき」という縛り。
修正案でも条文上は過去の犯罪や継続・反復性は要件になっていない。1回限りの“犯罪”が対象になるが、その“犯罪”はあくまで共謀の段階。どうやって「共同の目的」を認定するのか?

■「共謀=話し合い」を捜査・立証するためには?
犯罪目的の話し合いは当然秘匿して行われる。特殊な情報活動を展開しなければその内容を探知できるはずがない。
・盗聴。通信傍受の拡大と室内盗聴の導入。
・協力者(スパイ)の投入・潜入。
法務省共謀罪Q&A」は嘘。条約20条1項、29条1項は新手法の導入を推奨。「電子的な監視」(盗聴)、「コントロールド・デリバリー」、「潜入して行う捜査」(おとり捜査)。
・BS討論における元警察官僚・弁護士の発言。
・話し合いは当然秘匿して行われる=無害な団体とも表面的に見れば同じ=捜査してみなければ実態が分からない=情報活動の拡大。
・「共謀罪の内偵捜査である」などと情報活動の正当化・根拠規定に利用される。
・「日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法」「破壊活動防止法」等も類型犯罪に。スパイ防止法として機能。

■犯罪が作られるということ
抗弁の難しさ(痴漢冤罪のケースとも似ている)。
自首減免の規定、密告の奨励。
敵対者を陥れるための虚偽の申告(起訴できなくても逮捕・取調だけで社会的に抹殺できる)。
・菅生事件(被告人は交番爆破について一審有罪、二審で無罪、確定。ダイナマイトを運搬した警察官は、その後、爆取で起訴され、有罪になったが刑は免除。職務命令に従うのはやむを得ないし、上司への報告は爆取11条の自首に当たるというのが理由。警官は、幹部警察官に昇進)
・大森銀行ギャング事件。特高警察の協力者が共産党幹部に。銀行強盗を指示。

■おとり捜査の問題
・条約20条で推奨。
・犯意誘発型は悪いが、機会提供型はいい→境界は曖昧で根拠は不明。
・IRAに対する捜査の最近事例。爆弾製造責任者がMI5のスパイ。さらにそのスパイが最新の爆弾製造技術をNYで入手するのをMI5がアレンジ。無辜の人々が犠牲に。一方、スパイであることを明かし政治的でっち上げ事件を告発したシンフェイン党幹部は先ごろ暗殺。
治安情報機関の発想→大の目的のためには小の犠牲はやむを得ず。目的のためには手段を選ばず。疑わしい者についてはとりあえず情報収集する。

■諜報と刑事捜査の融合
・特にアメリカ的な考え方。発想はSF映画「マイノリティ・レポート」と同じ。
・「ロー・エンフォースメント・インテリジェンス」という概念。議会調査局や司法省の資料。
・諜報と刑事捜査は本来異質なはずなのに・・・。
・犯罪が起こる前に摘発。いわば刑事司法における先制攻撃戦略。
国連越境組織犯罪防止条約→刑事司法におけるグローバライゼーション。共謀罪はその一環。実質は刑法の全面改正に等しい内容。
・2003年、警視庁及び警察庁刑事局内等に組織犯罪対策部を設置。同時期、暴力団外国人犯罪東京地検刑事部から同公安部の所掌に。
・近代刑法の改変→近代市民社会の変容。重要な問題なのに国民的関心の低い実態。