コミティア76の新規購入サークル分から主な作品を抜粋。

  • 夏樹カズト ≪グリーンキャンディ
    • オフセット「背伸びしている僕等の日々。」
    • コピー誌「デビュー」
    • コピー誌「アンダーソン家の悪魔たち」

 新規購入サークルで一番気に入った作家。「背伸び〜」と「デビュー」は、ちっこくて元気で前髪をあげたオデコがチャームポイントの少女に惚れたクールな少年と、その仲間達の話。クール君はいつも教室で椅子に座っりながらもんもんと伝えられない思いに葛藤していて、デコちゃんは先輩に惚れてふられて、それを怒ったクール君に逆に先輩が惚れちゃって、あともろもろ。
 笑って泣いて怒ってびっくりして睨んで、登場人物たちの表情が起伏にとんでいてあきない。「背伸び〜」で先輩のことが気になるけど素直になれない同級生の悪友女子が、クール少年にアタックしまくる様子を眉を寄せて睨んでる71P3コマ目の顔が特に、よろしい。3P後で涙を溜めてハァハァ息をついでるしな!


  • OJO&唄 ≪晴々製作委員会≫
    • コピー誌「私立晴々高等学園『1学期4月』」

 誌面の前後から別々の作家が同じストーリーを別のキャラクターの視点から競作する構成。晴々高等学園に入学してきた新1年生の女子が落とした手帳を、在校生の3人が拾って「好きジャー!」といきなりアタックでどたばた。問題は、絵柄がほとんどそっくりな一方で、左開きで読み始めるほう作品のほうが明らかに読みやすくて面白い構成だということ。こりゃ競作というより、読み比べになっちゃってるな。それを意図してるのならそれでいいのだけれど。奥付からは、どちらの作品がOJO、唄の人の描いた作品か判別できず。


  • 妙蓮寺渉 ≪U-glena
    • オフセット「大罪を抱く者」
    • コピー誌「予告マンガ」

 「大罪〜」は、牧師の父親から虐待を受けている少女のもとに、しゃべる赤ん坊に身を移した悪魔が救ってやろうとささやいて……。上半身裸でうつぶせになり、指圧マッサージでも受けてるような笑顔の娘に、後ろから赤ん坊からのしかかって魔方陣を書いてるシーンがヒット。父親の魂を食らった悪魔を天使として受け入れる娘の素直さが白痴ゆえか純粋さゆえか、いまいち読めないところが、また意味深。


  • フミヅキメイ ≪A-O
    • オフセット「01:Sailor blouse-style Doggerel in the Doggy-bag」
    • コピー誌「Est-ce qu'il l'appelle aimez? histoire d'amour avec le chocolat.」

 この人、商業で描いてるの読んだことなかったかなぁ……。
 セーラー服本というくくりの「01:〜」に収録されてる話で、老齢の教師が亡き妻=元教え子への一目ぼれの瞬間を回想するシーンににやける。めぞん一刻の時代から、教え子と教師の出会いの回想シーンはたまらんよ。


  • 相沢良彦 ≪チビッコ$GANG
    • オフセット「見参! α親善使節団!」
    • コピー誌「魔女ッ娘☆ガリ〜 (準備号)」

 オフセットのほうは、「好きだ…」「好きだ…」「好きだ…」と、別の惑星からやってきた猫耳っぽい髪型の3人組み幼女・神前大使に群がる大人たちを、罵倒したりムチで叩いたり“臭い息”で青ざめさせたり。癖の強い絵柄なのだけれど、ふとした拍子の表情(主婦作家のスカートをつまんだりするとき)は、なんとも可愛い。準備号の魔物封殺大戦モノorギャグメイン?な魔女っ娘ストーリーにも期待。


  • ゴウ ≪突撃工房
    • オフセット「おじいちゃんとわたし DX」
    • オフセット「おじいちゃんとわたし はっぴぃ☆らっきぃ♪さばいばぁ(はーと)」

 おじいちゃんに(遺産目当てで)べったりなわたし=孫娘(ヒョードル弟並みの強腕)は、今日も仲良くどつきあい。無敵看板娘ライクだが、基本的に主要登場人物がおじいちゃんとわたしの二人だけなので、捻りつつも単調になりがちかな、と。ただ、まだシリーズが続くなら、また読みたい。


 作品自体がヘリクツを理屈のように見せかける手練手管を楽しむ種類の内容なので、いろいろ書きつらねても、伝えたいことがこんがらがるだけのように思うので、最近年をとっていろいろ青い息吹が薄まってきているなという人は、読んでみ。


 うわ、女の子が可愛すぎる。これ、商業で読んだら絶対に意地で受け入れようとしなかったろうなぁ。「Wired〜」は「アーム」「チェイン」といった強殖装甲的なガジェットがいまいち生かされず、互いに素直になれないラブとアクションのどちらに目をやっていいかとまどう。