ヤングチャンピオン 15号


 いらないグラビアや微妙な連載陣にためらって立ち読みで済ませてきたヤンチャン。一方で6月に創刊された隔月の増刊「烈」がなかなかの充実で、その勢いをかって本誌のこちらを再評価の最中。最近、一部の連載が立て続けに終わり、代わって始まっている新連載が、今のところ悪くない。



 前号、怒涛の詰め込み進行で最終回を迎え"させられ"た「軽井沢シンドローム SPROUT」(たがみよしひさ)。たがみのファンである自分として、こう言うのは心苦しいが、次第に人間離れしてきたキャラ達の顔は、読むに忍びなかった。*1 また何度目かのスランプに陥りかけてるように見える。リハビリしての再始動を(腰も)。それまで、最近コミック文庫で復刊された「化石の記憶」を再読しながら待とう。
 「SPROUT」の前には、「新撰組 黙示録」(乾良彦)が連載を終了。2年前のNHK大河の放送開始で、一時期は複数のマンガ誌で見かけた新撰組モノ。新機軸を打ち立てたというほどの作品は残さずに流行を落ち着け、このヤンチャンでも静かに終わった。
今号では「RODIN 〜ロダン〜」(佐藤マコト)が終了。直木賞受賞作を「サトラレ」で人気作家となった佐藤にマンガ化させたもの。が、これも、マンガ独自の面白さにはつなげられずに終了。同じ原作モノで「ブスの瞳に恋してる」(漫(はーと)画太郎)が、原作モノとしてありえないはっちゃけぶり(画太郎にすれば当然過ぎるくらいの脚色)で、じわじわ人気を獲得してるのに比べると、いま3歩ほど抜きん出られなかった。
 ヤンチャンは原作付きマンガでは「バトルロワイヤル」「ブラックジャック」「池袋ウエストゲートパーク」と、人気原作をブッキングしてオリジナル要素を取り入れたりしてマンガ版で案外隅に置けないヒットを飛ばしてきているので、路線としては定着してると言っていい。が、「新撰組〜」「バトル〜」「池袋〜」とも、ブームの旬をとうに過ぎて連載を続けてそれもいまさらなぁ……と原作マンガ版ともいまいち乗り切れなかった自分は少しイラつきながら立ち読みしていた。
 また何かの原作モノを始めるのだろうし、今は、そのちょうど谷間にあたるのかもしれない。人気のある「ブスの〜」にしても、これから予定している原作モノにしても、ちょうどいい区切りや仕切り直しを心がけてくれたら雑誌の定期購読がしやすい。3巻まででまとめた「電車男」くらいのやり方がgood。



 そんなわけで、正直、定期購読するほどはないなぁ……と思う理由になっていた3作品が終わってくれて、踏み切ることができた。



 そして、ここ4ヶ月くらいの間に入れ代わりで始まっている新連載が、堅苦しくない話で可愛い女子も出てきてモテたい(モテない)学生の願望をよく映した、青年誌の本道という感じで素直に毎号、楽しみにできそう。
 連載開始作品を新しい号から順に並べると、


の5本。
 「ナニワ〜」は、大阪・十三支店のキャバクラの店長を勤めてこいと経営者の父親に派遣されてきたイヤイヤながらの童貞高校生が、大阪嫌いの原因になった"はすっぱ"な少女と再会して、チンコを写メられる第1話。ヤンチャンでは「すんドめ」の岡田和人がつくった、エッチに明け透けな不良っぽいヒロイン、サブヒロインという路線をなぞってる感じ。自己紹介で好きなお笑い番組をきかれて「エンタの神様」と答え、それまでキャピキャピだったキャバクラの店員に「殺すぞ」とガンをつけられる。そんな大阪ネタがところどころヒットして懐かしく面白い。
 「凍牌」は驚異的な記憶力で雀荘を荒らしまくる高校生が主人公。鋭い目付きであどけない顔の主人公が脂ぎったオッサン達を静かに打ち倒していく。前回1話の最終ページで挿入されていた、押入れの中で寝ている少女、という引きをまったく継いでない第2話が、先を読ませない。
 「ヒメレス」は「烈」で連載してておかしくない美少女モノ。着替えを顧問の男性教師に見られて動じないレスリング少女。そこが「烈」でなくヤンチャン本誌らしい。
 「イかせて!!〜」は、童貞をテーマにモテない僕のところに天使がやってきた、を神崎が初めて挑戦しているので先を見届けたい。



 6号から始まった「おヨメにおいで!」(高倉あつこ)、3号からの「仁義S」(立原あゆみ)は、まぁ、読んでない。けど、ヤンチャンでは固定な面子なのでしょうがない。この2人に葉月京井荻寿一を含めた4人を読まないで購読するのは、費用対効果をかなり低下させているとは思うが、高倉あたりはそのうち終わってくれるかも、と淡い期待を抱きながら。次号から連載が始まる「デンドロバテス」(原作:石渡洋司、山根章裕)は、不良ガンアクション的な予告を見る限りちょっとどうかな……。あと、「烈」から「恋愛そんぽ!」(上月まんまる)がゲスト読切で参加。この調子で新鮮な読切が続いてくれると、ありがたい。





 あー、ヤンガンは結局、先週の号も買ってしまった。次号から後藤晶が描くので、まだ当分買い続けることになりそう。

*1:30巻代中盤から後の「じゃりン子チエ」のように。