時をかける少女(監督:細田守)


 テアトル新宿で19:10の回。「人狼」を観て以来なので、ここは6年ぶり。午前中、京橋・フィルムセンターの「不思議惑星 キン・ザ・ザ」を上映に10分遅れで入場を断られ、2時間経ってインドカレー屋で先に入っていた友人から聞いた作品説明も要領を得ず、フラストレーションを解消するため、だったが。



 細田という監督がマニア筋の間で演出力の評価が高いらしいとか、筒井の原作や原田主演の実写を読んでない観てないだとか、キャラクターデザインの貞本の絵はどうも最近いけ好かないだとか、そんなことはいつの間にかなーんにもかんも忘れて、のめり込んでいた。夏の青空の下をかける、かける、帳消しにしたいやり直したい反芻したい過去に向かってかける、時に飛ぶ、飛ぶ、そのヒロイン・チアキ*1 の元気っぷりと落ち込みっぷりが、見ているこちら側に大変、気持ちいい。いつもいっしょの男友達2人と1時間か2時間のカラオケを10回タイムリープして喉をガラガラにしてしまう小学生レベルの使い道が笑いを誘いながら(映画館で知らない誰かといっしょに大勢で見てクスクスと笑うのが素直に心地いい映画としても大きく評価したい)、そこはやはり高校生、男友達の片方と自転車の二人乗り中、いきなり受けた告白をナシにしたくて、タイムリープタイムリープタイムリープを繰り返し、それでも「オレと付き合わねえ?」な流れになってしまい、結局、二人乗りする前の三叉路で二人乗りの時と別の道を一人、帰宅するヒロイン。暗示的なこのシーンから、ヒロインにとってタイムリープの弊害として人間関係のぎくしゃくが生じ始め、思春期だねぇという恋愛模様に突入。このあたりでわだかまるもやもや感と、最後の最後にくる決断の瞬間をどう行動するのか、そこの勇気を、是非、また映画館かDVDで味わいたい。*2


 絵面で一番映えたのは、二人乗り中の告白や、ラスト近くのある別れのシーンで背景になる、夕日の荒川土手、っぽい土手。荒川の荒川区側の土手から、向こう岸の足立区方面を走る中央環状線を臨む景色(このへんかな)は、環状線の高速の上り下りが、不可逆な時間をタイムリープで行ったり来たりするストーリー(あるいは、何度か挿入される黒バックに連なった赤のデジタルメーターとの近似)を暗喩しているのかもしれない。





 以下は、まったくの蛇足。
 告白してきた女の子が足をくじいたので自分の家が経営する病院に連れて行くためブレーキの壊れたヒロインの自転車を拝借した男友達にヒロインが携帯で電話をかけるとき、番号を11ケタ分押してるんだよね。その前にもかけていたので発信履歴からか、登録してある電話帳から一発でかけてもいいのに、なんて。



参考:公式サイト

*1:奇しくもノンタンの声優と同名だったね、とか。

*2:投げすてろ人生でタイムリーな着眼がされている。ゲドも楽しみだなぁ。