Magical Super Asia / CLAYレーベル

ジャケット。



 アフタヌーンで'91か'92頃から連載していた「MAGICAL SUPER ASIA 深く美しきアジア」(鄭問)の世界観や、初代PSの遅れてきた大作「クーロンズゲート」、サターンの怪作「バロック」からインスパイアされた複数のアーティストがオムニバスに参加した"架空都市サウンドトラック集"。
 鄭問=チェンウェンの美麗な作画は、寄生獣と女神さま目当てに買い始めた10数年前の自分も、すぐに打ちのめされた。水墨画の技法と精緻なペン画が違和感なく融合し、ただの雑誌の再生紙のページに高級な和紙のような手触りを錯覚させた。その「深く〜」に出てきた蚊女(だったか?)や変幻自在の妖物のイメージをそのまま移植したかのようなコンセプトで、PS初期からゲーム誌でかなり力を入れてSCEが告知していたのが「クーロンズゲート」。'94のPS発売時点で目玉ソフトの一つとしてあがっていたが、延期に継ぐ延期で、結局発売されたのは'97頃だったか。いわゆるMYST系のゲームデザインで、それに大量の手間をかけたムービーとクーロン城のあの暗い雑多で湿ったアヤシイイメージをデコレートしていた。これが雑誌で告知されてる段階はこちらの好奇心を喚起しまくっていたものの、実際のゲームとなると、もっさりした移動ムービー、「キングスフィールド」の100倍は吐き気をもよおしやすい3D移動モード、CD-ROM4枚組みの面倒な入れ替えで、☆1つというレベル。PS発売すぐに出されてればまだ記憶に残る迷作という評価ももらえたろうに……。「バロック」はやったことがないので、モンスターがキモイらしいということ以外は知らない。




 で、そういったあまり統一感のない題材を、10人以上のアーティストが好き勝手に解釈してCDに詰め込んだ寄せ集め盤、という見方はそれはそれで合ってる。が、1曲1曲は悪くないのだなぁ、これが。収録曲は以下(トラックNo、楽曲名/アーティスト)。


01. Bike Boy / transmutation
02. Dynamitebach. / 覚道潰燗王
03. 淡水 / 泡夢2000
04. 失街児 / 蓄電池誤配
05. SIN / 鍵-KEY-
06. Limb / 猿馬虎電気車
07. Fanta / loopatoiy
08. AsianBeauty / 美麗亜細亜
09. INOKIM / KUUPAA
10. takuya / blueeyed messian of Kaoloon
11. utah kawasaki / Asian Super Magic
12. Fourcolor / fei
13. AKAIWA / Dream of Fish
14. End Joy (Suzueri+Cliquetpar / )The improvisation at Fat Fes 3, 3rd Nov 2003 in Bangkok


 漢語の看板がかかった店はもう鉄柵が降りて、遠くから届くネオンにジメった夜の路地裏をあてどもなく歩きながら、そんなときにBGMでかかってて欲しいような曲が粒ぞろい。



参考:360'records(共同レーベルの1社、メール注文窓口有)