コミックフラッパー 9月号


 今号でやっと「コブラ」が終わってくれたので、定期購読を始めてみる。それにしても、OKAMAの表紙の派手で映えることに比べて、誌面はホントに地味で暗い。創刊から8年間、そのイメージのままきてるのだから、あえて貫いているのだろうけれど。「アタゴオル」で時代錯覚を起こさせられていることも関係しているだろう。小学生の時に親戚の家のダンボールの中に見つけて読んだのが初めてで、当時ですでに、一ブームを終えた後だったように思い出す。現連載陣だと、前号から始まったキクチヒデユキ原作の「退魔針」モノと「レスキューウィングス」「神様家族」が余計。というか、税込で490円の値付けだったら、それらを切る前に、後200Pは増やしてもらいたいところである。編集の顔が誌面から見えないのも個人的にマイナス。見えないというより、意気込みが感じられないというか。これはもう、本当に感覚的なのものなのだけど、サラリーマン編集というイメージ。9時5時で最低限のことしかやってないようなイメージ。30日から31日の間、書店に並ぶことになる月刊誌は、週刊や隔週刊の雑誌より、良くも悪くもでいいから、もっと個性的で自己主張の強い誌面であっていいのではなかろうか。




新連載・巻頭カラー「クリスティ・ハイテンション」(新谷かおる

 19世紀終わりのロンドンを舞台に、シャーロックホームズシリーズをアレンジ。前号の予告で、両手に小型リボルバーをもってドーベルマンに跨っていたロリっ娘、クリスティがヒロイン。ホームズは叔父にあたり、母親の実兄がホームズという設定。Wikiでは、原典中で兄マイクロフト以外の親族の言及はほぼないとしているが、言及がないことと、いなかったことは異なるので、まぁ許容範囲。初回のストーリーは「マザランの宝石」がベース。どんな話だったかはもう、忘れた。このまま思い出さずに連載を追いかけよう。
 物語には、クリスティが住む屋敷のメイドやハウスキーパーや家庭教師夫人も絡んでくるようで、女傭兵モノで人気を博した「砂の薔薇」を思い起こさせる。1話目はたった24Pで、尻切れトンボな終わり方。次号でストーリーが動くことを期待。


「ダンス イン ザ ヴァンパイア バンド」

 こっちは、吸血鬼一族の中で女王格のロリっ娘がヒロイン。治外法権特区に集まり、組織化された吸血鬼が、国を相手に対決するという設定は、最近話をさっぱり追いきれなくなった「夜刀の神使い」があるが、「ダンス〜」は、ロリっ娘と主人公の二人に物語の焦点が絞り込まれているので、まだ、把握しやすい。ただ、類型的というか、吸血鬼でなくてもいいかなぁという印象もあるので、今後もう一ひねり一押しが欲しいか。


「双月巫女」

 今号の1番。細かい話の流れや設定は、前号までの掲載分を収録した単行本の2巻が今月に出るので、そちらで追ってもらいたいが、ヒロインの機械巫女を連載のいっとう始めから縛り付けていたある設定が、じわじわと心を通わせていたある登場人物との接触で、決壊して、解放される、というお話。ゆったりしたコマ割りで印象に残るシーン多数を繋ぎ、クライマックスの見開きで、解放の一瞬を捉える。呆けたようになって、ページをめくると、座り込んで涙をこぼす巫女。この話のために、ここまでの積み重ねがあったのだなぁ、と感心。