「ガゴゼ ①」(アントンシク)BIRZ COMICS
一昨日もちょこっとだけとりあげた幻冬舎のネットマンガ“GENZO”で連載中の作品。本誌購読はまだ検討中なので、単行本で初めて読むのだけど、これはアタリ。
3代将軍足利義満の時代。深い谷に潜む大妖怪「ガゴゼ」を退治するため差し向けられた義満の息子・義嗣(まだ10歳)一行とガゴゼの戦い。一行に加わっていた、土御門の名を受け継ぐ陰陽師に妖力を吸い取られたガゴゼは、手下にしていた妖怪たちの反撃から逃れる途中で、鬼無砂という少女にめぐり合う……。
妖怪の造形が、一見の価値あり。
江戸時代の屏風絵や掛け軸で見られそうなクラシカルなモチーフを基本に、牙、イボイボ、毛、粘液といったパーツを丁寧に書き込みながら、リアリティさはあくまでマンガキャラクター的な感触を重視して、間口がキャッチー。霞のような妖力ではなく、肉と血と骨で生きてる、生物としての妖怪を描いているのも個人的に好感。強く迫ってくる皮と毛の質感。
反対にオリジナリティに溢れるのが、陰陽師の使役する式神たち。ちっこい金魚のような人魚“青龍=チンロン”の愛らしい見かけは、高飛車で気分屋な態度によく似合う。
そして、谷を牛耳ることを狙う妖怪たちから追われ、義満の手からひそかに追跡を受け、生きるか死ぬかで再起の策を練るガゴゼが出会った、少女・鬼無砂の無垢なこと!
収録されてる第6話の冒頭、洗濯モノを干す鬼無砂タン、ちびっこガゴゼのために縫った着物を胸に抱えて前屈みでお願いする鬼無砂タン、折り紙で鶴を折ってにっこりアップの鬼無砂タンの連チャンは、ハードでどろどろした世界観をぶち壊しかねない破壊力。記憶をなくしていたり、人を食べることをやめた妖怪を父親だと思い込んで世話していたり、ナゾを抱えていて、ヒロイン設定もそつなく備える。あと太もも。これ、外せない。
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- 作者: アントンシク
- 出版社/メーカー: 幻冬舎コミックス
- 発売日: 2006/08/24
- メディア: コミック
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