アフタヌーン 12月号

新連載「呪街」(惣本蒼)


 クーンツやマキャモンが好きな人は、琴線に触れるかも。


 煽り文句は「新世代サイキックアクション」。アフタヌーンの本格ホラーは小川幸辰(現おがわ甘籃)が10年前くらいに描いてたでかい繭が出てくるマンガが出色の出来だったかな、というくらいだったのだけど、四季賞出身の新人が描く作品でまたこういったホラーが出てくるうれしさ。
 両サイドが林の二車線道路で向かい合って不可視の超能力のぶつけ合い。この絵面がアイデアとして中々、嵌ってる。派手なアクションは抑えて(というか、そういう絵をかけるタイプの書き手ではなく、作者もそれを分かった上で)、構図の工夫やコマ割りでもって、どちらがどう押してるのか分かるバトル。よくあるガジェット(呪文とか呪いアイテムとか手で結ぶ印とか)もあえて排しており、このあたりも好き。例えば、ヒロインの能力者が、行方不明だった彼女を訪ねてやってきた少女の体に書く厄除けが「へのへのもへじ」だったりする。伝統や伝説、宗教、伝奇と絡めた、ありきたりの異能マンガに飽きてきた人にも是非。



 アフタヌーンは最近始まった連載が、「ナチュン」(都留泰作)、「パノラマデリュージョン」(小原愼司)、「あたらしい朝」(黒田硫黄)と、面白い。小梅の「くじびき」は、まぁ、儲けたいだろうししょうがないかな……早くオリジナルやれるようになるといいよね……、で流すとして。四季賞ポータブルのみを楽しみにしなくても良くなってくる状況は歓迎できるね。



月刊 アフタヌーン 2006年 12月号 [雑誌]

月刊 アフタヌーン 2006年 12月号 [雑誌]