けれど愛国心にも逃げられず。

 はとこが勤め先を辞めて、地元密着型のフリーペーパーのようなものを始めたらしい。書いて生きていくことを成立させるための創刊ではなく、伝えたいものを届ける横の広がりのための創刊であるのが、羨ましい。冷徹に分析する目を養なう作業における対象物が、本質的に自分の生き方とまったく関係ないところにあるのは、やはり、むなしさをともなう。立ち上げるにあたって、地元の人間、友人知人から小さくない協力を得ただろう。そういう協力を得られる人間がいる地元を愛しているからフリーペーパーを始める決断をしたのだろう。本当に羨ましいのは、生まれ育った土地をなんとか盛り上げていこうという気概を抱いて頑張っている姿勢なのだ。