コミティア78で購入した、定番サークルの分から。

 戦う女中さんシリーズ(語尾伸ばし気味に)。筋モノが経営する問屋を一度潰していた無頼の過去で脅し、カレーの材料を難なく手に入れる女中さん。メイドでなく女中なのだから、このくらい無愛想なほうが似合う。


 短編「アブノーマルスタート」と「怖がりな子」の2本を収録。肉骨粉だけ食べて生きてきましたみたいな登場人物たちは相変わらず。「アブノ〜」で、フケ専ゲイの芸能人の幼馴染に生涯伴侶宣言した暴力女子高生が案外、可愛くて困る。もともと商業用に起こしたネームらしいので、どちらの話もこの作者にしては理解が及ぶ範疇。


  • MATSUZAKI 《適当刊MATSUZAKI
    • オフセット「超級パース塾」
    • オフセット「ちゅんどろ」

 「超級パース塾」は、2点パースで高さに対して奥行きを決める技術や、3点パースの視点をコマの中心に合わせる技術を教えてくれる学習マンガ、かと思いきや、今は3Dソフトがあるから知識は必要だけど技術は別にいらないよね!、というオチ。背景専業アシスタントの悲哀がちょっぴり。


 06年秋のマンガ誌を舐めつくす「123選」が良作。定例誌の「永遠の漫」で03年にやった同じ企画を回顧。そんなふうに数年経って読み返して、当時はあーだったこーだったと振り返って二度美味しい。読んでる雑誌はだいたい思ってる通り、読んでない雑誌の紹介も楽しい([低偏差値]タグをつけてる「恋愛白書パステル」とか)。独断推定でつけてるらしい対象年齢が隠し味(「ガンダムエース」の13〜48歳とか)。
 「永遠の漫」のHITは、座談会「TMR再チャレンジ推進会議」と「かってに雑誌特集補遺」。「再チャレ〜」の談話で、オリバの恋人が「田村麻呂に似てるよね!!」「ああ、アテルイの!!」ときて、めくったページの2者比較に吹いた。つーか、どこでやってた原哲夫か。COMICリュウは再チャレ雑誌か……。シルバー人材センター的な雑誌で昔、ビッグゴールドってあったな。定食屋でよく読んだ。
 「かってに〜」はボーイズラブティーンズラブの雑誌35誌を総覧。立ち読みだとしても読まないこの手の雑誌をコンパクトに紹介してくれていて、大変助かる。増刊とか別冊とか恋愛何とかとか似たような不定期発行、タイトルが多くて、いざ網羅しようとしても面倒だったりするし。マガジン×2社が出してる隔月誌「BOY's LOVE」で、60年安保モノのBLを小野塚カホリがやってるという自分的な特ダネもあり。10月発売号ってまだ売ってる?


 ラムちゃんが結果的に宇宙へ帰っていく版の「うる星やつら」のような。主人公の額についた角を怪力でもぎとろうとする先輩男子がビーム編集長のような面なのが、何故かはまり役。


  • 高津 《J-M-BOX
    • コピー誌「ナイトワーカー(仮)」
    • コピー誌「さっちゃんボーイ」

 商業仕事の紹介冊子「ナイト〜」で、メガストアHは不定期掲載を隔月くらいしたいと。期待期待。


 こ・く・は・く、キタ。中心人物に関しては、そーいう話の動かし方をするシリーズではないんじゃないかなと漠然と思っていたところに、先が待ち遠しいような不意打ち。発行形態がいまいち掴みきれないので(突貫でつくったホチキス止めとか)、そのうちまとめてオフセットで出して欲しい。


  • よこぢよしてる 《Original Aim
    • オフセット「住んで、五年。」

 委託誌コーナーで。3年前に出していた「独身×三十×一戸建」の続巻。地方で若くして一戸建て(設計段階から)を買った人が、じゃあ、実際住んでみてどういう満足・不満点があったかという実地レポート。予算をオーバーしないよう、トイレと風呂場の間仕切りをとってカーテンにしたり、1Fのテラスをなくしたり、2Fの間仕切りがほとんどなくなったり、涙ぐましいコストの削り節に、うんうんと頷く。固定資産税対策や、総返済額を少なくするため借入金の借り換えをしたりの話も、ためになる。土地の水はけが悪いとか地面からの冷気を遮れなくて部屋が寒いとか、マンションでは考えなくていい困難もあるようで、けど、やっぱ他の住人を気にしなくていい一戸建ては、魅力やねー(2月に引っ越すとき、ボロでもいいからと真剣に一戸建ての賃貸を検討した自分。物の置き場所が一気に解決するし)。


 出茂倉家で同じ日に生まれたいとこの双子がまた同じ日に今度は三つ子を産んだよ→12人の保育園児の日常マンガ「でもくらちゃん」シリーズは、12人分あったおやつのゼリーを母親の一人が横取りしたことから、でもくらちゃん12人+4人分のブロッコリー、パイナップル、アイスクリーム、虫(笑)と話が広がっていく。長いシリーズだが、ページ数全部を使って1本のストーリーを構成した本は、あまりなかった。いつものあっさり風味より、ページをめくる感触があって満足。
 「漫画の先生」は、バイトや高校でマンガ教室の先生をしながらデビューを目指す女性マンガ家の卵の話。去年くらいに作者の人から付き合ってますと報告があって、ティアカップルとプチ話題になった《乱痴気事虫所》の砂虫隼さんがモデル(のはず。もう籍を入れたのかしら*1 )。教える立場の先生が目指すものにおいてはまだ卵でしかなく、生徒のバイト先で生徒のほうが目標をしっかりもって着々と歩んでいる。そこで必要以上に落ち込まず大人な前向きさでもって、授業では変わらず生徒を叱咤激励する卵の強さが、魅力。


  • 霧恵マサノブ 《月刊製作委員会(仮)》
    • オフセット「電波塔の魔法遣い 復刻版」

 科学技術が失われて江戸時代程度まで後退した世界の、とある農村。崩壊しかけの電波塔を守る、年老いた「眼鏡」様の謎の自殺を受けて後を継いだ弟子の少女が、電波塔の下の建物の中で見たものは……。
 4年前にコピー本で出してた四季賞入選作のオフセット化。コピー本はもってるけど、ダンボールの奥にいっちゃったしで、もう1冊。インターネットを“知”が集積された聖本のごとく扱うテーマはさすがに4年前でも古臭いなと思ったけれど、“生命”の秘密を網羅した“知”が、“生命”を上回る概念にあたるわけではないと少女が感受するストーリーは、読み応えがある。
 作者は、12/13にコミック阿ロ伝掲載作品が初単行本「海神」(isbn:4894653486)として発売予定。


 1941年の北アフリカ戦(主にエジプト〜リビア)線の砂漠を舞台に、少女ばかりの兵隊で構成されたフェアリーランド王国軍(連合国側)の戦車隊と、ロマーニャ共和国軍(枢軸国側)の戦車隊が戦いを繰り広げる、架空戦記。少女兵ばかりというと、しけたみがのが角川で連載していたマンガに似てるが、あちらが砲撃で両足を切断する手術をする羽目になったり捕虜になった敵陣で集団レイプを受けたりするハードな内容であるのに比べると、「砂漠のウサギ」シリーズはデフォルメの強いコロコロした可愛い絵柄で、もっと楽に読める。随時入るミリタリー解説は適度な詳述(ありがちな兵器のスペック趣味に偏ってない)で、そっち方面にアレルギーのある人でもおそらく大丈夫。
 「総集編+」に収録された、少年郵便兵が途中で少女兵士たちの淫魔の手(笑)を逃れながら目的の陣地まで手紙の束を届ける話が、気に入り。


  • 漆原 ≪蛙の館
    • オフセット「天ノ花 地ノ月 雨」

 堺の町に逃がされてきた絹の周囲で、かつて自分を殺そうとした一族が暗躍し始める。絹のちまちました可愛さは置いとく形になって、脇役の背景固めな回。エピローグで美少女に成長し、しゃべれるようになった絹の次巻の活躍が待ち遠しい。


 ツンデレとEVAをしげる的解釈で。前半と後半のつながりがいまいち掴みづらいが、いつもの詩的セリフの心地よさは健在。


 エロは初めて読んだ。瞳のない目玉の顔が、おそるおそるといった感じで尻を突き出すのがぐっと。もうちょっと乳の練習をしてもらえば、かなり実用的。 


 チビショタのtinkoが奇形の無花果浣腸のよう。電車の中でじっと見つめて縦に揺れ横に揺れ。視姦でごー。ところで、蟷螂の3話目はまだですか……。


  • しらとりゆり 《SOFT-COTTON》
    • コピー誌「上を向いて。」

 男のネクタイを対面で結べる女が、そんな爽やかな笑みだけ浮かべてられるもんかぁ。ところで、近所のパン屋で夕方から夜9時までバイトしてる女子(推定16歳)がちゃんと両手を添えてお釣りを渡してくれるのでなんとか生きていられます。

*1:http://www.asahi-net.or.jp/~XF7Y-NKS/CG/kekkon.html←6月に結婚してらしたのね。完売か……、欲しいわ。