コミックビーム 2月号

新連載・表紙・巻頭カラー「アベックパンチ」(タイム涼介

青くもなく
春でもない
無重力で首つりしてる
それがおれらの青春さ

 表紙より。


 マンガ家って、おそらくだけど、でも、おおかたそうだと思うのだけど、いじめられっ子だ。だから、いじめられる側の目線。なんとかいじめる奴らを見返してやりたい、なんとかちょっとでも一矢報いてやりたい。自分を弾いた社会に対して、かつての仲間に対して、親に対して、自分を追い越していきそうな若い芽に対して。負けても悔しくないと、強がる。悔しくならないための負け方、生き方。


 タイム涼介が描くのは、いじめられる前に動くための物語。勝って悔しい物語。やせ我慢でも笑いながら帰る。ヨコハマヨコスカ、ドブ板通り、高速の陸橋下を流れる運河、近所のお姉さんからもらった赤いランドセルは男の子のための勇気の印。
 硬派銀次郎はカッコ良すぎて、ウィングチップでビシっと決めるマイク・ハマーのセンスはない。でも、ケンカでのした相手から取り上げたケータイにおばーちゃんの電話番号が入ってるって言われたら、「おばあちゃんじゃしょーがねえ!!」。彼女がいる奴のはパキンと折るけど。


 「僕はもう逃げない!」なんて真剣に叫ぶ前に、粋がって青タンつくって、臭い運河沿い歩け。