「悪魔に魅せられし者」(鈴木直人)創土社


 ゲロトラックス! ゲローとらーーっくす! 食べると危険!
 クオックス可愛い! ペットにしたい! 壁をぶち破ってガー!
 ムアラ! MUARU! ZED! ロストワールド逝き!
 ゾロ目で敵の攻撃が必ずHITって、旧版であったっけ?
 闘技場狭い! 六畳一間! ゾロアが番長っぽい!
 「171」の手摺りの向こうの雲海に痺れた! 小水を漏らすほど!
 モンスター専用レストランのイラスト真ん中は、崖をよじ登るシーンで次に踏み出す足場の微妙に色違う石!



 当時、何が新しかったのか。一方通行のFF系に対して双方向が導入された点はもちろんあったが、1ブロック5メートル、8×8ブロックを1フロア、60階を積み重るというシステマティックさは、文章や文脈による描写、フィーリングに世界の雰囲気を掴ませていたそれまでのGBに、ヤリコミ要素、攻略するという確かな手応えを持ち込んだ。一度の冒険で隅から隅までしゃぶりつくせる(しゃぶりつくさせる)作者のサービス精神に、多くのプレイヤーが、冒険記録用紙とは別に、マッピング用の方眼紙を傍らに置いていそしんだ。九九を覚え始めたくらいの小学生まで! 閉鎖系の勝利。あと、次巻への引きをソーサリーより強めた点。というか、つまりメスロン生徒。



 差し込み付録の「剣社通信」で、MMOの出会いに感動した鈴木が「NPCではない多くの人に出会えるようなゲームブックってなんなんだろうなぁーって考えると掲示板だけ立てておけばいいような気もする」と。MMOは選択肢無限のGB。面白いやつも廃人もネカマも本当の恋愛も虚虚実実が表裏一体。それに負けないくらいの出会いが欲しいの。


悪魔に魅せられし者

悪魔に魅せられし者