アフタヌーン 4月号 + 四季賞ポータブル 2006冬のコンテスト
四季大賞「ムスコはオヤジ」(天野聡彦)
3年前、四季賞では異例の4コマギャグ「臨死!! 江古田ちゃん」(瀧波ユカリ)を大賞に推したかわぐちかいじが、再びギャグマンガを大賞に選出。
金とオンナに狂って死んでいった父親の墓石へ、怨み節と共に立小便をひっかける主人公。一夜明けると、なんとチンコが父親に。二度目の人生を楽しもうとする親父チンコと主人公の息子のいろいろあってなストーリー。
面白いか面白くないかと言われれば、面白い。発想は中学生、というか別冊ヤンマガ路線だが、かわぐちが選評で述べているよう、センスが買える。いきなりカレイドスターでテコ入れ始めたファングにトレード移籍させてあげたいくらい。読者年齢層が高くてマニア系のアフタヌーンによく投稿したなと思う。
親父チンコのダメさは、言えば小憎たらしいくらいのレベル。そこまで酷い人生破綻者だったうようには描写しきれていないのが、徹底してない面もありながら救いにもなっている。アブラギッシュな親父チンコが熱血してしまってどうにもならない状態になり、コスって出して学校の洋式トイレで呆然とする主人公が、ほほえましい。
なんのかの言われながら、「臨死!!」も定着してきているので、これももしかしたらイケるかもとは思う。「ハトヨメ」切ってこれでも。
四季賞「6時の男」(さだやすあゆみ)
パンを買いに出かけるのにもスーツに着替えるクールでスマートなヤクザ親父(52)が、アイスクリーム屋の美少年バイトに一目ぼれしてしまって……。
ニューズウィークの政治風刺マンガな絵柄(ほかに言い方がないかな……)が、西欧ダンディズムを貫く親父の姿勢にマッチしている。その一方で、一目ぼれしておたおたする親父。取引用のヤクに手を出した下っ端を脅す文句に、いまいち迫力を感じずこっけいにも思えてしまうのは、それはそれでそういった効果を狙った上でのことかもしれない。ラスト近く、アイスをほうばった親父のりんごほっぺに、ほほえむ。
かわぐちかいじ特別賞「ある日、ウンコマンと俺ら。」(円城寺真己)
地下都市で暮らす孤児の兄弟二人は、ある日、頭の上にトグロを巻いた不思議な男と出会って……。
タイトルとは裏腹に、物語が終盤に近づくに従って、ハードな展開が加速する。惜しむらくは、ゴミ貯めのような街として描かいてるはずの地下都市に対して、ウンコマンが思いを巡らす後にしてきた地上の大帝国が、さほど大帝国ではない点。地下と地上の双方に、ディティールが足りていない。骨太な物語だが筋力が足りてないので、今後の精進に期待。
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