300(監督:ザック・スナイダー)


 昨日、新宿ミラノ2で21:50の回。



 スパルタの精鋭300人がペルシア軍数十万人を海際の峡谷で足止めして全滅した「テルモピュライの戦い」を、フランク・ミラーがアメコミ化したものを下敷きにした映画化。ミラーは制作指揮でも関わる。



 ギリシア彫刻の肉体美に、本物の肉と血と躍動を与えたら、どうなるか。神話の世界が再現されました。これはいいマノウォーですね。「COBRA」のクリスタルキングクリスタルボーイがペルシアのBOSSだった。



 否応無い政治性。奇形の息子を谷底に落とされないためスパルタを出た両親の訓練を受け、300人への合流を直訴したせむし男は、王からファランクス陣形を組めない奇形の体を指摘され、あきらめろとのたまわれる。峡谷の後ろに回りこむ秘密の裏道をペルシア軍に伝えるせむし男。幾多の国を征服してその勢力を軍に取り込みながら進撃してきたペルシア軍は、アメリカに率いられた多国籍軍か。それとも捨てられたせむし男の復讐が「9.11」となってマッチョ帝国のアメリカンスパルタを刺したのか。



 ミラーの原作が描かれたのは1998年で「9.11」以前。「9.11」のショックで描けない病に陥ったミラーは、ロビンを主人公にしたバットマンの続編でアメコミに復帰したが、評判はあまり芳しくないよう。「ギリシアには神と英雄がいた」と語るミラーは、次回作でアルカイダからゴッサムシティを守るBATTMANを描くという。ミラー、ミラー、ホントは何が欲しいの?



 大局的には、約7年間に渡った「ペルシア戦争(ギリシア戦争)」の中での1ページであり、ペルシアを退けた後、交易で周囲の都市国家を実質的な支配下に置くアテナイと、農業国で戦勝による見返りのなかったスパルタとの間に、溝は深まった。それから約10数年を経過して、アテナイがつくるデロス同盟とスパルタがつくるペロポネソス同盟が衝突。「ペロポネソス戦争」が勃発し、ギリシアは再び戦乱の渦に巻き込まれていくことになる。この戦いにスパルタ陣営は勝利するが、ギリシア全体の力は衰えていくことを免れず、その後、スパルタはテーバイとの戦いに敗退。テーバイも、ペロポネソス戦争を静観していたマケドニア王国に「カイロネイアの戦い」で飲み込まれることとなる。
 そして、戦争終結の2年後、戦いを指揮した父王が暗殺され、マケドニアにはアレクサンダー大王が即位。歴史は、父王と大王に書記として仕えたカルディアのエウメネスを描いた「ヒストリエ」(岩明均)、エウメネスの死から約100年後の「第2次ポエニ戦争」カルタゴ側につきローマの大軍を迎え討ったシチリアアルキメデス・ダミッポスコンビを描いた「ヘウレーカ」(岩明均)に続いていくこととなる。



参考:公式サイト