ルネッサンス(監督:クリスチャン・ヴォルクマン)


 上の受け取りを終えてから、吉祥寺バウスシアター2で18:30の回。


 白黒コントラストのCGアニメ映画。夜に、部屋の窓ガラス越しに外の雨を見るシーンや、河川の水面を映したシーンに、違和感がほとんどない。色と白黒の濃淡を使わず、それがなされているのは、スタッフがコンセプトをちゃんと理解してつくっていることの証だろう(ただ、煙、炎のエフェクトはさすがにちょっとわかりにくかった。)。
 よく分かった演出がなかなか効果的なのは、例えば、強化ガラスの歩道で“蓋”をされた川沿いの自動車道でのカーチェイス。上は歩行速度の人並み、下は百数十キロの猛スピードで走る逃走車をポリスカーが追う。色がついた絵面では、がちゃがちゃして何がなんだかになってしまいかねないが、濃淡のないきっちり白黒の絵面だと、爽快さのほうが勝る。
 2054年の近未来フランスを舞台にしており、登場人物の人種は多彩。で、繰り返すように白黒コントラストのCG映画なので、金髪も「肌色」も灰色の目も直接に描写することはできない。しかし、白人、黒人、アジア系(日本人の老人も登場)、中東系、etc、それぞれの人種がちゃんと分かるのだから、CGの骨組み肉付け、光源照り返しの調整が、確かということなのだろう。別の言い方をすれば、人種を書き分けながらも、そこを必要以上に意識させない。鑑賞者に人種に対する「くびき」のようなものがあったとしても、それに左右されにくい作用があるとしたら、面白いと思う。



 ……ただねぇ、脚本は弱かった。天才女性研究者が誘拐された理由が、○○○○の秘密を解明したからって。どうやって秘密にたどりついたのか、秘密の肝はなんなのか、一切、説明ないし。せっかくのハードボイルドタッチが台無しという感じ。そんな荒唐無稽に付き合わされた主人公の警部は、ご苦労様である。
 フランス革命三原則の「自由、平等、博愛」を、謎の中心にいる巨大企業アヴァロンが「健康、美しさ、若さ」にもじって街のいたるところにあるCG広告の美女にささやかさせているのは、ちょっと面白かったけど。


参考:公式サイト