からんでるわけじゃないの。


 ちょっと、アレッ?、と思ったので。


  • ラノ漫―ラノベのマンガを本気で作る編集者の雑記― - 奥付に載らない仕事・マンガ編集者の世界

 http://d.hatena.ne.jp/m_tamasaka/20070929/1191023224


 ここであげられた編集の仕事は大きく6項目。
「○作家を探す・作家を選ぶ」
「○作家の体調・メンタル・その他もろもろの管理」
「○作家・作品をサポートする」
「○作品をしっかりと売る」
「○原稿の督促・回収・編集・入稿・校了
「○事務仕事、雑用」
 詳細はLink先を。
 この中の「○作品をしっかりと売る」の項目では、二宮・シギサワ・日坂を売り出した飯田孝メロディ編集長のティアマガインタビューの要旨と雑感を参考にあげてもらっております。9年在籍した営業部から抜擢された編集者の含蓄ある編集方針には、共感するところが本当に多々。6項目の一つ一つについても、まさに其の通りなんだろうなぁ、と頷くところが多々。読者の自分にとって、直に目にする時は、サイン会で作家の座るテーブルの横にニコニコ立ってきまずくならないよう話題を振ってくれる人、であったりするくらいだけど、もちろん、その裏では本業が控えているわけで。



 で、「一番大切な仕事」「作品の成否はこの時点でおおむね決まる」「編集者のセンスが問われる」という「○作家を探す・作家を選ぶ」なんだけど、この項目が何で最初なんだろう、と。この項目の前に、「○作品(原作)を探す・作品(原作)を選ぶ」って項目がない? もしかしたら「企画そのものからキャラ作り、アイデア出し」をする「○作家・作品をサポートする」でそこをカバーしたのかもしれないけど、「ラノベのマンガを本気で作る」なら、作品(原作)を視る目について別個に触れないでは語れないでしょ。「ライトノベルの小説賞の応募原稿をいくつか読ませてもら」ったり「マンガにしてみたいライトノベルは、昔の作品だと「〈卵王子〉カイルロッドの苦難」。最近の作品では「ゼロの使い魔」」というくらいだから、疎かにしてるなんてことは毛頭ないと思うのだけど。*1
 編集者が寿司屋の雇われ経営者だとしたら、マンガ家は板前、作品(原作)は鮮魚。活きの良い魚でないと、料理人が幾ら腕を振るっても、客を心底は満足させられないYO?
 あるいは、メディアミックスの対象になるくらいの作品(原作)が面白いのは、わざわざ触れるまでもない所与のもの、ってことかもしれない。でも、それは個人的には納得しにくい。売れてる、アニメ化・映画化・ドラマ化される予定、有名作家が描いた、ネットで話題、etc、そういった要素をともなってるからメディアミックスされることがほとんどだろう。でも、生産地保証、ブランドネーム、市況にともなう需要増といった材料に頼る前に、バイヤーor仲買人として面白さに対する目利きを働かせることはないのかしら。権限として与えられていない、というなら話はここで終わるけど。





 唐突のようだけど、この人が編集担当した「狼と香辛料」(作画:小梅けいと、原作:支倉凍砂)が面白かったのね。


 自分にしては原作・作家の両方を読んでいてしかもファンという稀に見るケース、という要素を差っ引いても。いらない広告と告知・タイアップ記事の多さがバイク誌並みで辟易させる「電撃マ王」なんて雑誌をワザワザ買わせるくらいに。*2ロレンスは、頭脳労働職的な挿絵版に比べて肩幅が広く体力勝負でもあったろう行商人という仕事の過酷さを想起させ、新連載なのにカラーないのかと思ったら最後のホロ登場シーンで夜の緑を基調に印象的な使われ方をしていて、ぽっちゃり肉がついた最近の小梅の絵柄を見慣れた目には頭身高めのホロが野性味を感じさせ好感で。
 それで、初めて編集担当してるマンガを読んだかなと思ったらそうではなく、去年末からGAO!の購読を始めていたため、「バッカーノ! 1931」(作画:吟遊詩人、原作:成田良悟) と「ななついろドロップスPure!!」(作画:水島空彦、原作:ユニゾンシフト) を実は、読んでた。この2作が、原作を未読で、吟遊が新人、水島がそこそこ好き、という要素を差っ引いても、及第点にいかない。バッカーノの連載初回に関しては、「シリウスの「銃姫」と同じパターン。原作を未読であっても、作画のつたなさが原作の面白さを生かしきれてないのが手に取るように分かる。セリフのみを拾い読みしてるほうが面白いから。」という印象だった。*3



 編集担当が同じで、編集方針もおそらく一貫しているはずなのに、こんなにも面白さの差が一目瞭然なのは、何でなのか。マンガ家の力、待遇、時間がタイト、なんかが大きな理由としてはあるんだと思う。まさしく「作品の成否はこの時点でおおむね決まる」という「○作家を探す・作家を選ぶ」ね。そこを、作品(原作)と作画のミスマッチとするなら、もしかしたら作品(原作)と編集のミスマッチってのもあるんじゃないか。「○作品(原作)を探す・作品(原作)を選ぶ」という仕事があるのなら、そこがどういう風に流れていけば、良いマンガが生まれやすいのか。是非、聞きたいところ。

肝心のマンガの方ですが、担当としては結構自信を持っています。私自身も原作のファンですので、ファンの目から見て、この作品は改編を加えず、極力省略もせず、原作に忠実に丹念にマンガ化すべきであると判断し、その通りにマンガにしてもらいました。原作の空気の再現のため、小梅さんには絵柄から仕上げの加工に至るまで、普段とは変えてもらっています。
小梅さんをして「どっちがマ王でどっちがアフタヌーンだかわからない。普通逆じゃないか」と言わしめた「狼と香辛料」。ぜひ一度ご覧ください。
(中略)
こちらの方では吟遊詩人さん作画の「バッカーノ! 1931」と、水島空彦さん作画の「ななついろ★ドロップス Pure!!」を担当しております。2人ともまだまだ発展途上ですが、温かい目で見てやっていただけますと幸いです。

http://d.hatena.ne.jp/m_tamasaka/20070927

 本音で語れる人のようだし(爆)。


電撃マ王 2007年 11月号 [雑誌]

電撃マ王 2007年 11月号 [雑誌]






*1:特に「ゼロ」は、コミックアライブで連載中のマンガ版が箸にも棒にもかからない出来で自分は大いに不満があるので、「オレならこうやってやる」という意味で候補に上げているなら是非、意見が聞きたいところdeath。アニメ化も二度されてるし原作もまだ人気あるし、PUSHしとけば会社の上のほうも別に文句ねーだろって感じで、6ヶ月連続表誌にされたりフィギュアの誌上通販とかやってる感じがしててね。上のほうがそう考えて編集現場に押し付けてるのかもしれないけど。どっちにしてもなぁ。

*2:正確には、神保町古書センター2Fの古本屋をボンディへ昼飯を食べに通り抜ける途中に見つけた半額300円のを買ったんだけど。

*3:おおよそで「狼>>>>>>>>>>>>>ななつ>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>バッカ」。