新人が面白い。


月末から月初めにかけて、BLADEとフラッパーとシリウスとREXとアライブの新人がいずれも良かった。


  • エスプリト」(筒井大志
    • 信じた分だけ強くなれるという、あまりストレートすぎてどんな少年マンガも今更扱わないようなネタ1本で、初回83Pをよく押し切った。つつこうと思えばつつけるけど、そんなことは別にいいやと思わせる眩しさ。
  • バガタウェイ」(古日向いろは
    • 女子ラクロスマンガの第1話。棒の中のボールを落とさずにゴールまで走る「体験入部」が、本当にやっていそう。きちんとスポーツモノしてくれそうな予感から好評価。ちょっと気になるのは主人公の新入生。元気いっぱいまっすぐです!というキャラ付けの背景が語りきれておらず、さほどぶっとんだ感じでもないので、がつんと印象に残らない。もっと、スポーツでなく主人公に語らせる方向も欲しい。


  • 「夕焼けシャッフル」(あさのゆきこ)
    • マンガ家志望で新人賞に落選してばかりの無職25歳と、彼を心配するアパートに同居する小学生9歳。9歳の娘を無職にむりやる預ける叔父のやむにやまれなさとか、舞台が京都市であることとか、うまく物語に溶け込ませきれてない部分はあるものの、主題である、「あー25にもなって無職で、いつ芽が出るんだろ……」と、子供と大人を小器用に使い分けたがる9歳の子供な可愛さは、よく伝わってきた。浅野裕喜子名義を赤○で使ってたらしい。
  • 「はじまりの言葉」(長田佳巳
    • ツンをつっぱれるのはバイタリティがある証拠。ツンをつっぱりきれないのは若いという証拠。ツンデレって、たいてい誰よりも努力してる人だからこそ、容認される。でも、実際のツンは色々抱えてフクザツ。若さゆえフクザツで、努力より理屈が走る。でも、出会いが変える。出会いで変わる。バイタリティと理屈で押し通すだけでない世界が見えてくる。


  • 「オレンジとメガネ」(杉野素泳)
    • 帰宅部を「帰宅部」として活動する変な上級生男子に狙われる新入生女子。無印の帰宅部を選んだ新入生ヒロインの「ああ」「家」「最高!!!」で掴まれた。上級生のこじつけ「帰宅部」活動のぶっとんだところより、新入生女子のぼそっとした一言二言のほうが面白い。後半、帰りの抜け道を探して近所の森に迷い込むところは、行動がまるっきり小学生だなぁと思った。

  • 「とぬらんち」(セレビィ量産型
    • 江原啓之のような顔のパーツがにくたらしい猫キャラに、途中までちょっとムカついてたが、お湯で毛並みが収縮した猫の「ぬめ〜」に笑いがこらえきれず、ヒロインのデレ転換のきっかけにした構成とも、うまくリンクした感じ。作者の勝ち。ところで252ページの月例マンガ塾でEクラスになってる布納康考という人の絵がみなすきぽぷりっぽいんだけど。35歳だし。まぁ違うか。


  • 「OZ」(作画:刻夜セイゴ、原作:岩井恭平
    • デビュー作の「ねじまき星とアオイソラ」は箸にも棒にもな出来だったのに、原作付きとはいえ、何段跳びかで成長してきた印象。それでも無駄なコマとか説明とかがあってまだまだなところは残るんだけど、初回85ページの分量をちゃんと読ませきらせたし、デビュー作で気になったアクションシーンのダレもほとんどなかった。あと、この号の「ささめきこと」は構成が見事だった。今までほとんどろくに読んだことなくて、主役キャラさえ未登場の回なのに。作者の評価を変えざるをえない。目当てにしてた倉藤倖のオリジナル新作がイマ2くらいの出来栄えだったのは残念。


月刊 COMIC RUSH (コミック ラッシュ) 2008年 11月号 [雑誌]

月刊 COMIC RUSH (コミック ラッシュ) 2008年 11月号 [雑誌]

新人と関係ないけど、ついでに。「しなこいっ」第5話・6-9ページ目の“所業”に、作品中で登場人物のダレも突っ込んでないのが気持ち悪くてしょうがない。


もうひとつついでに。この号から「編集人」の担当が、発行人と兼務していた岡本真理に代わって、「GENZO」編集長の高橋君枝に。「ヘタリア」アニメ化告知とか原画プレゼントとかやってるのは、その絡みだろう。「GENZO」は編集人/発行人とも知久正弘になってるので、フツーに異動(というか「ヘタリア」によるテコ入れ)ですね。