Youtubeで「ケータイ☆マンガ王国」の書き下ろしタイトルが試し読み可能に。
YouTube - BbmfComic's Channel
http://www.youtube.com/user/BbmfComic
今日まで存在を知らなかった。作品の紹介とか、演出の説明とかがしやすくなって、ありがたいわー。
一部作品については、これまでもページ単位の試し読みは可能(一例)。けれども、コマ毎に切り取ったケータイマンガの画面や演出を再現したものではなかった。
また、たまに試し読みできるページがあっても、最初の数コマ分が試し読みできるだけだったり、FLASH形式に変換したものでケータイの画面上の演出を正確に再現したものではなかった。
ケータイ画面をビデオカメラやデジカメの動画機能を使って撮影するのは面倒くさいし、違法アップロード行為に触れそうなことをするつもりもない。そういう悩みの種が一つ解消に近づいたのは、本当にありがたい。
Youtubeでのサービスは6月からのスタートで、現在、試し読みできるのは88タイトル。すべて書き下ろし作品という点がポイントになる。
「ケータイ☆マンガ王国」の書き下ろし専門コーナーは3つあり、大雑把にジャンル分けすると、
になる。
出版社から卸してもらっている人気タイトルは、権利関係からこういった形でアップするのは不可能だろう。
一方で、書き下ろしに力を入れている配信サイトは、「ケータイ☆マンガ王国」のような大手のほかには、小学館系の「モバMAN」、宝島系の「ワンコミ」などわずか。アップできるようなタイトル数を、ある程度揃えるられるところは限られている。その中でも、「ケータイ☆マンガ王国」は、作家に直接依頼する営業活動を早くから始めていて、書き下ろし作品が比較的多い(それでも事業規模に比べればまだまだ書き下ろしの量は少ないと言える)。
ただ、最初に紹介や演出の説明がしやすくなると書いたけれども、アップされた動画のどれも画像は非常に粗く、真ん中に「SAMPLE」の網掛け文字が大きく表示されているため、可読性は良くない。あくまでお試しのレベル。あるいは、"WEBユーザーの方はご存知ないかもしれませんが、こういったケータイマンガというものが存在するんですよ"という認知効果のほうを期待しているのかもしれない。
たとえば、自分がいつもケータイで読んでいる時に比べて、コマ毎の画面切り替えは2倍くらいの速さで流れていく反面、縦長・横長のコマがスクロールするスピードは若干遅め。というより、何だか"ガタガタ"している。このあたりの感触は、ケータイの機種性能や通信環境でも左右されてくるにしても、やはり理想的な可読性を再現しているようには思えない(もっとも、コマ送りのボタンを押すタイミングをコントロールできない時点で、何かしら不満が出るものだろうけど)。
1話あたりの動画の長さは2〜3分。この長さについては、自分が読むのにかける時間の感覚と合致する。だいたい、電車で1駅を移動するくらいの長さと言えば、把握しやすいだろうか。
それでは良い機会なので、オススメのものをピックアップしてみる。
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YouTube - 魔法 (四ツ原フリコ)
四ツ原フリコという作家を知る機会になった、思い出深い作品。
簡単な粗筋を紹介すると、"魔法薬を売る店で働く魔法使い見習いの少年"狐"は、店に若さを保つ薬を買いにくるお得意様で、近くの娼館の娼婦の"銀貨"に想いを打ち明けられないでいる。ある日、店長からお為しにと渡された薬の副作用で、"銀貨"が"狐"と同じくらいの年に若返ってしまい、これでは娼館に居られないと店に転がり込んでくるが――"。
ケータイマンガは、紙媒体に比べて、「物語世界」や「キャラクターの気持ち」に対する距離が縮まりやすいとよく言われるけれども、それがよく分かる好例の作品。画面の大きさが小さくなってしまうため、世界の広がりや壮大さといった要素は犠牲になりがちとなるけれど、この「魔法」のような舞台背景や登場人物が絞り込まれた短編では、メリットのほうが勝ってくる。
でも、こうやってパソコンで読んでしまうと、そこはスポイルされがちなので、是非、ケータイ版を読んでみて欲しい。
YouTube - クロスワールド (四ツ原フリコ)
四ツ原フリコの最新作で現在、連載中。
少女誌や女性誌を買わない(買いにくい)、百合系雑誌もなんとなく手が出ない、そういった自分のような読者にとって、こういった女性作家やファンタジー作品に触れることが、ケータイマンガなら可能になるというメリットもある。
2:24あたりで、少女の眼が「赤眼」で表示されたり、カラーのワンポイント演出も効果的。
YouTube - 猫背を伸ばして (押切蓮介)
押切蓮介が描くマンガ家マンガ。とても脱力系。息抜きで読むのに丁度いい。
YouTube - 善良なる異端の街 (松本次郎)
オムニバス形式で、ちょっと不条理なストーリーが展開される、松本次郎らしい作品。ケータイ版の最新作では、現代だけでなくSF要素も盛り込まれている。そのせいかどうか、紙の原稿の中で時間軸や舞台軸が交錯する構成があるらしく、それをコマ毎に分割して演出を入れる過程で、ちょっとわかりづらくなっているシーンがあった。松本次郎のようなクセのある作家だと、ケータイマンガ化の過程で、そういう苦労も少なくなさそう。
YouTube - ビリー・ザ・キッド 21枚のALBUM (六田登)
六田登のようなメジャー作家を複数、引っ張ってきて、書き下ろしさせる点も「ケータイ☆まんが王国」によく見られるケース。ただ、六田の場合は本人がケータイマンガに乗り気という事情もある。そのあたりの背景は、過去のエントリでも書いたことがある。このエントリで演出説明のモデルに使った、第7話「スターダスト」をアップしてくれると、分かりやすくなって助かるけれど(というか、文字だけで説明されてもはっきり言って何が何やらだよな……)。
YouTube - 少女ゾンビ (ヒロモト森一)
ゾンビホラーもの。B級アクションに定評のあるヒロモト森一は、良い意味でのチープさが、ケータイマンガという媒体に非常に上手くマッチするように思う。血飛沫などでカラーが豊富に使われているが、こういったケースはまだまだ少ない。
YouTube - Aclla〜太陽の巫女と空の神兵〜 (高田慎一郎)
これも、最近のお気に入り連載の一つ。作者のHPで、コマを切り張りする前の通常原稿を読めるので、比較対象しやすい。
「ビリー・ザ・キッド 21枚のALBUM」や「少女ゾンビ」を読んでも分かるけれど、殺害や血飛沫といった表現に対するケータイマンガの自主規制は、青年雑誌と同じくらい。
YouTube - 福猫 (ミサトモコ)
同人サークル《AQ+BOSHAFT》の主催作家が描く、ちょいエロコメディ。単行本も発売済み。紙媒体を経ずに、同人や新人からケータイマンガで作品発表するケースも増えている。
YouTube - ぶっ☆かけ (松山せいじ)
言わずと知れた、巨乳大好き作家。非18禁のちょいエロ作品が大ブレークしている今のケータイマンガマーケットで、受けないはずがない。ダウンロード数もそうだけれど、3巻まで発売されている単行本の売れ行きが気になる。
この作品や「とらぶるインベーダー」(あまの・よ〜き)などを読むと、乳首まではOKという基準が一つ、見えてくる。でも、唾液はNGらしく、そのあたりは判断ラインはよく分からない。
YouTube - 真黒(シンクロ) (稲光伸二)
超能力サスペンスもの。「出るとこ出ましょ!」の終了以降、あまり音沙汰を聞かなかった作者が、この作品の単行本化で再注目されるとうれしい。小学館系の「モバMAN」で連載している「大江戸!!あんプラグド」と同時発売して、配信サイトの一致協力で盛り上げて欲しいところ。
YouTube - The King (戸田尚伸)
ケータイ版は読んだことがないものの、週ジャンで連載してた「惑星をつぐ者」が好きだった作者なので、ついでに紹介。これを機会に読んでみようか。
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このほかにも、、「人魚の岬」(庭)や、同人サークル《サンタロー》の松本藍の作品などを紹介したかったけれど、今のところアップされていない。お願いしますね!