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  • ガンガンJOKER 1月号
    • 「EIGHTH」を連載中の河内和泉の旧作「機工魔術士 -enchanter-」を夏に一気読みしたときのメモが未整理のままになっていた。このまま放っておかれる可能性が高いため、載せてしまう。一気読み、と書いたが、メモは、アレサンドロが出てきたあたりまでのものになる。
      • キャラクターの間の「距離」が他のマンガより近いように感じる。「距離」の近さの要因のひとつとして、キャラクターたちの行動の動機が、いずれも個人的なところにある点が関係しているように思えた。
      • ファンタジーの背景にまどわされるかもしれないけれど、行動の動機に「世界の成り立ち」とか「圧倒的な意思の力」とか「何百年も前からの因縁」とか、そういったはるか生前の事象が関係しない。
        • ユウカナリアはフルカネリと会いたいがため
        • 晴彦は優佳姉のため
      • 他のキャラクターも自分のため、愛する人を愛する自分のため、が動機で、「どうしようもなくて」「やらざるをえなくなってる」というキャラがいない。気弱な悪魔でヤンデレ気味のナナエラは「どうしようもなくて」の部類だが、ストーリーの方向を左右するキャラではない(少なくとも9巻時点では)。
      • 個人的な動機が動かす物語だからこそ、自己決定を問う物語としての大枠の重みが増し、厚みを増す(自己責任ではない。)。そこは「EIGTH」にも共通する。個人的な動機にもとづくストーリーだから、感情移入しにくい部分も出てくる。晴彦を「器」だと言ってはばからないユウカナリアとか、メルクーリオ本体のキャラとかは、人によってはイヤなやつだろう。でも、だからこそ、言葉に重みが出てくる。
        • 今の人間の個人的な動機で物語が動く点は、少女マンガ的だなと思う。
      • ドラゴンボール」とか「スラムダンク」とか「鋼の錬金術師」とかの柱である、世界の命運やチームの勝利を背負わない。徹頭徹尾、個人の動機にもとづく個人の選択の物語。
      • キャラクターの間に働いている磁力が半端ない、というか。他のマンガが、大河の流れの中で揺れて進むいくつかの船だとしたら、「機工魔術士」や「EIGHTH」はなんだろう、核分裂反応みたいな?
      • 縦軸に……決断せよ(嫌なやつになったとしても)
      • 横軸に……「必要なんだ/なの!」「必要として!」
        • 縦軸と横軸の交わりに……「何のために「我がまま」を貫ぬくのか/我慢するのか」→「その結果を引き受けろ」→繰り返し(ここがポイント。自己責任=それで一巻の終わり、ではない。何人もの何度もの決断を重ねて、必要とされる/されたい我がままが「成就」に近づいていく)
      • 成長の物語でもあるけど、行動の動機がとても個人的なものだから、成長の程度も個人のそれに左右されてくる。それで、明確にこれだけ成長しました!って感じにはなりにくい。
      • レイプ事件が起きる前の「宮本から君へ」に共通する匂いを感じる。レイプ事件が起きてからは、それに向かって物語りが収斂しちゃう。けれど、それより前は、宮本個人が「我がままを貫く」の繰り返しの物語だから。そういう意味での熱さが共通するのか。
      • ファンタジーの力を手に入れても、今の晴彦にはここまでこれだけの力しかないからここまでしかできない、無理、ということ線引きがはっきりしている(キャラもそれをはっきり伝える)。「イヤボーン」的な進行役は皆無。
        • それも、どんな強い力はあっても愛は手に入れられない、とか、教訓的な線引きではなくて、もっとリアリズムに導かれた線引き。バキの、魁皇は人格とかどうでもいい純粋な力のみによって与えられる、みたいな。
          • レザーファッションの悪魔そのものの狡猾なずるがしこさを発揮する魔術士が、最上級クラスの力を持ちながら人の弱みに付けこむ手口をいとわないのも、そこの限界を補う意味があるのだろう?(何いってんだ?)
      • 「EIGHTH」は、組織の論理に縛られるはずのあれを舞台にしてるのに、そこでも個人の動機のみが物語を駆動させる原動力になっている(今のところ)。そこにどこか違和感を持つ?
  • コミックハイ! 2月号
  • コミックLO 2月号