13日目。放射性ヨウ素131の半減期は約8日。

水道水の放射能測定結果について(第17報)|東京都
http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2011/03/20l3nf00.htm


東京の金町浄水場における3/22の午前9時の検査で210ベクレル/キログラムの放射性ヨウ素-131が検出され、この値が「食品衛生法に基づく乳児の飲用に関する暫定的な指標値」の100を2.1倍、上回る値だったということを受けて、乳児は水道水を飲用しないように呼びかけが行われている。半減期が約30年と非常に長いセシウムは検出されなかったとされている。


210ベクレル/キログラムという値は、「原子力安全委員会が定めた飲食物摂取制限に関する指標値」という値の300に対して残りが90という点も、非常に気にかかる。


この二つの「指標値」は、3/17に厚生労働省医薬食品局食品安全部長の名前で出された「放射能汚染された食品の取り扱いについて http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001558e-img/2r9852000001559v.pdf」で示されている。これに対して、この値は、WHOの「飲料水水質ガイドライン http://whqlibdoc.who.int/publications/2004/9241546387_jpn.pdf」で示された基準値に比べると、随分と緩いということが話題になっている。


WHOの「飲料水水質ガイドライン」の202ページ目「9.3 飲料水中の放射性核種のガイダンスレベル」の項では、203ページ目の「表9-3 飲料水中の放射性核種のガイダンスレベル」の表において、ヨウ素-131、つまり元素記号で131Iの「ガイダンスレベル」を10ベクレル/リットルとしている。


原子力安全委員会が定めた飲食物摂取制限に関する指標値」の300は、この「ガイダンスレベル」に対して30倍という値になる。


「ガイダンスレベル」を導く計算式は、


GL=1DC/(hing・q)


で、導入されるのは、


GL: 飲料水中の放射性核種のガイダンスレベル(Bq/L)
IDC: 個別線量基準、この計算では0.1mSv/年
hing: 成人による摂取の線量換算係数(mSv/Bq)
q: 飲料水の年摂取量、730L/年と仮定


とされている。


「q」の飲料水の年摂取量は、1日2リットルの設定となっている。これを半分の1リットルに減らすと、金町浄水場で検出された210ベクレル/キログラムを半分の105ベクレル/キログラムに落とすことが出来るかもしれない。が、それでもWHOの「ガイダンスレベル」の10ベクレル/リットルの10倍になる。


201ページの「9.2 放射能放射線量の単位」の項目では、このようにある。

放射能のSI単位はベクレル(Bq)で、1Bq=1崩壊/秒である。飲料水についてのガイダンスレベルは、1L中の放射性核種による放射能、すなわち放射能濃度(Bq/L)と呼ばれる、として与えられている。放射性核種の摂取によりもたらされる被ばく線量は、多くの化学的および生物学的要因により左右される。これらは、摂取された放射性核種のうち消化管、器官または組織まで運ばれてそれから吸収される部分の割合および放射性核種が排泄されるまで器官または組織内にとどまっている時間などである。崩壊に伴い放射される放射線の特性および放射線に対する器官または組織の感受性も考慮されなければならない。

ヨウ素-131が、体内にとどまっている時間が出来るだけ短いほうが良いのは、その通りのようだ。


一方で、もう一つ、気になることがある。


海水からヨウ素131検出、安全基準の127倍
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110322-00000078-yom-soci

東電は21日午後2時半、福島第一原発の廃液を海に流す放水口の100メートル南の海域で、海水500ミリ・リットルを採取して調べた。その結果、原子炉等規制法が定める1人当たりの年間基準の126・7倍に当たる、1ミリ・リットル当たり5・066ベクレルの放射性ヨウ素131が検出された。
原子力安全・保安院によると、この水を1日2リットルずつ3日間飲むと、年間基準の放射線に被曝(ひばく)することになる。セシウム134は安全基準の24・8倍、セシウム137も16・5倍が検出された。今回の原発事故で海水の放射性物質の調査結果が示されたのは初めて。


原子炉等規制法という法律でも、ヨウ素-131の年間基準が定められているという。ただ、「原子炉等規制法 http://www.mext.go.jp/a_menu/anzenkakuho/lawlist/1261304.htm」のページには、法律だけでなく、政令、省令、告示、通知が数多くあるため、どの文書で年間基準が定められているのか、まだ探しだせていない。


ただ、記事の説明から逆算すると、


(5.066ベクレル/1ミリリットル÷126.7倍)×1000ミリリットル=39.98ベクレル/リットル


となり、ヨウ素-131の1人あたり年間基準は約40ベクレル/リットルになる。繰り返すが、正確な年間基準を政令、省令、告示、通知からは見つけていない。


ただ、「原子力安全委員会が定めた飲食物摂取制限に関する指標値」における300ベクレル/リットルという値よりも大幅に低い点は、非常に気になる。





全国の水道の放射能濃度一覧
http://atmc.jp/water/