23日目。コンクリート詰め作戦は失敗。
副島隆彦(そえじまたかひこ)の学問道場 - 今日のぼやき(広報)
http://www.snsi.jp/tops/kouhou/1492
痛烈。
原発推進や脱・原発のどちらにも、これらの立場のギリギリの端っこにも、どうカテゴライズしようとしてもされない、まるで狂人の。
いや、放射能の人体に与える影響とか、原発から漏れ出す放射能の濃度などについては、明らかにおかしいとしか言いようのない認識なのだけれど、アスファルトの道路を群れて歩く牛の家族、現場で測定した放射能の数値、「現地の警察も、消防も、自衛隊も、誰も邪魔はしない。」というインフラ回復の放棄された街の惨状、といった報告は、もうどうしようもないくらい現場をありのまま伝えている。3/28-3/30の現場を、全くの個人の目から伝えている。
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【放射能漏れ】ロシア、原発シェア拡大へ強気「福島より安全」 反対派の懸念を一蹴+(2/2ページ) - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/world/news/110331/erp11033119210005-n2.htm
国策原子力統合企業「ロスアトム」のボヤルキン計画部長はこう語り、「ロシアの各原発には自前の消防も予備電源も備えられ、緊急時に国の支援に頼らない即応体制がある」と強調。「チェルノブイリ事故の教訓を得て、ロシアの原発は世界で最も安全な水準にある」と訴える。
メドベージェフ大統領は最近のビデオ・ブログで「原発は最も経済的な発電方法であり、しかるべき規則を守れば安全だ」と発言。「地震多発地帯での原発建設は国際的に規制すべきだ」と日本の原発政策をも暗に批判した。
福島第1原発の事態が緊迫していた最中の3月15日、ロシアはチェルノブイリ事故被害者の多い隣国ベラルーシで同国初の原発2基を建設することで合意し、原発推進路線を見直す考えがないことを鮮明にした。
しかし、国際環境保護団体「グリーンピース」ロシア支部のチュプロフ・エネルギー部長は政権側の説明に真っ向から反論する。
同部長によると、ロシアでは原子炉の緊急停止が年平均で約10回も発生。「福島のように電力供給が途絶え、原子炉の冷却機能が停止する事態は津波以外の要因でも起き得る」という。 実際、2000年9月には、ウラル地方のマヤーク核燃料施設で1時間半にわたって電力供給が停止し、重大事故につながる恐れがあった。
ロシアは船上の原子炉で発電を行う「海上原発」の建造も進めており、12年の実用化を目指している。ロスアトムは「遠隔地に電力を供給する革新的技術だ」として海上原発を輸出ビジネスの切り札とする考えも示す。海上原発の第1号は過去に津波被害に見舞われている極東のカムチャツカ地方に配備する計画とされている。
ニュース - 環境 - ロシア、世界の原発と地震リスク(記事全文) - ナショナルジオグラフィック 公式日本語サイト
http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=2011033004&expand#title
ロシアは日本とまったく逆の理由で原子力の利用拡大を目指している。広大な領土には世界最大の埋蔵量を誇る天然ガスなど化石資源が豊富にあり、政府は資源輸出を拡大する政策を推進する。国内では政府の手厚い補助金を元に天然ガスから原子力への転換を図り、天然ガスは海外に輸出して外貨を稼ごうという目論見だ。
だが、地震の最多発地域である極東のカムチャツカ半島で原発の新設が進んでいる。世界初の民間“水上原子力発電所”、「アカデミック・ロモノソフ号(Akademik Lomonosov)」だ。完成予定は2013年で、ロシア海軍太平洋艦隊の原子力潜水艦基地である閉鎖都市ヴィリュチンスク沿岸に停泊する(都市名は近くのヴィリュチンスキー火山に由来している)。数隻の建造計画が進行中の浮かぶ発電所は、北極圏の辺境を航行して石油・天然ガス採掘事業への電力供給を目指している。
原発技術の輸出を、国策として変更するつもりがないロシアは、地震多発地帯のカムチャッカで水上原発の建設を進める。この計画については、5年前に「第1号は、バルト海と運河で繋がる白海に浮かべられる。どれだけ波穏やかな内海かは知らないが、インドネシアやマレ−シアや中国まで浮島を引っ張っていくとしたら、地球を半周はする。それとも現地設営? どのみち12年ごとに全面修理のために偉大なる祖国ロシアまでけん引していく必要があるようだが。記事でも強調されている節があるが、軍事転用を米に懸念させずに、原子力技術を商売にしたいということだろう。浮島にすることで、「技術の供与」ではなく「現物の貸与」に切り替えられる。核不拡散条約だったりへの抵触をクリアできるか。接岸する浮島、という形をとれば、ある種の治外法権を獲得できそう。仮に事故や事件が起きたとしても、いろいろな不都合から逃れられたり。」(http://d.hatena.ne.jp/bullet/20060619#p4)と触れていたことがあった。
便益とコストを天秤にのせた場合、リスク測定のテーマとなるのは、住民の安全、子孫の安全、土地や水の安全、食料の安全、といったものだけではない。安全保障という国外の力学にも大きく左右されてくる。
ロシアの水上原発計画は、明らかに後者、具体的には米国、中国、インドといった核保有大国を必要以上に刺激せずに、同時に牽制するという方向性の延長線上にある、フクシマが起きてしまった後の今も。
5月にフランスで予定されているG8で、原発の国際安全基準の見直しを議論するよう、サルコジが提案したが、これも原発大国であるフランスの国民の間にこれ以上の懸念を広げないため先手の表明を行うと同時に、G8、その後に行われるG20で、他の核保有大国と核燃料廃棄物のリサイクル→核爆弾の原料となるプルトニウム抽出工程の適正なあり方などについて綱引きを行うぞ、という伏線にみなされる。
日本の安全保障は、結局のところ、米国の核の傘の下に入ることで保たれていた。少なくとも、そのように説明してきた、自民時代も民主時代になってからも、沖縄普天間問題などで明らかなように。その米国のオバマは、核不拡散と将来的な核兵器廃絶の旗印はそのままに、原発推進路線を掲げたまま。住民の安全のリスクは技術発展とより高い安全基準の運用によって解消されることを前提に、政治の問題である安全保障を優先していく姿勢に見える。その米国に安全保障を頼った日本が、頼ったまま、住民の安全、子孫の安全、土地や水の安全、食料の安全といった観点から、脱・原発をおしすすめられるとは、そう簡単にそれが行くとは思っていない。費用便益の問題……産業政策とライフスタイルの転換と図れるかどうかと、米国べったりの安全保障の転換を図れるかどうかも、問われてくる……。