コミティア96

  • 10:05、ビッグサイト着。肌寒い曇り空。でも上は薄手のブルゾン一枚。中に入ってしまえば関係ないし、といういつものスタイル。
  • 震災後初の大型即売会への参加。過去のティアに比べて楽しめたかどうかで言えば楽しめたし、周りの人たちも楽しんでるように見えた。
  • 地震/津波/被災関連本は、エッセイマンガを得意にしているサークルが地震発生当日から数日間の日常を扱っていたり、チャリティー企画に参加しているサークルが企画本や合同誌を机の上に並べていたり、そういうサークルは少なくなかったという印象。本の前書き/後書きやペーパーなら、それに触れているところのほうが多かったと思う。
  • 新刊落ちましたの理由だったケースは……どうなんだろう。地震ネタが被ってしまって、というサークルは1箇所確認したけれど。
  • 「震災の影響でやはり欠席を決めました」という紙が机の上に貼られているスペースを1箇所見かけた。貼られていない欠席スペースもあったけれど、それが震災の影響が大きいものなのかどうか。欠席率やその理由を、事務局のほうでアンケートからまとめてくれるといいかもしれない。一方で、被災した地域の人が担当していた作業と夏の計画停電を想定した前倒し作業のダブル余波で、通常の3倍というシャア専用並みの作業量をこなす日々の中、本来今日は祝日なのに出勤だったところ有給を取って参加したというサークルの人もいた。あえて参加、というサークルも多かったかもしれない。それならもちろん、楽しめたほうがいいに決まってる。
  • 「まんがぶらふチアーズ!」は面白い4コマが見当たらなかったので見送った。「マンガ論争」を買うのは勉強と状況把握に役立つからであって、規制反対運動を支援したいからだけが理由じゃない。
  • 期待半分無理だろ半分でいた原発/放射能関連の本は、やっぱりほとんど見当たらなかった。あったし買ったかもしれないけれど、今回ティアで初めて会場から宅配便を使ったので、今、手元に大半の本がない。明日、ダンボールの中を探して見つかれば追記する。商業だって、原発がらみのネタを取り上げたのは今のとこ「島耕作」(島しゃちょーがテレビ報道を見ながら原発の必要性を否定せずひとくさり講釈するという流し方で)くらいだということを考えれば、まだまだ難しいのかもしれない。
  • 地震/津波は被災のさらなる拡大はほぼない終わった事象だけれど、原発/放射能は現在進行形でさらに悪化する可能性があるから直視がむずかしく何ならなるべく視野に入れたくない、ということが一つあるんだと思う。それと、どれくらい以上の累積放射線量を内外から浴びてしまうと不味いか、それが年齢・性別でどれくらい違うか、他の発電システムに比べた採算性をどれくらい見込んでいいのか、といった問題に関わる基準が、データの幅の取り方によってどんどん変わってくることや言う人によっても大きく変わってくるなどが原発/放射能をテーマとすることを躊躇させるんだと思う(ある意味、そこのボーダーラインは“非実在”問題以上にあいまい)。ある方向性を重視した基準を、作家の本人判断で採用するしかない。作家によってはその判断をイデオロギーに塗れてしまうように感じて嫌がる。でも、事態が早期に収束に向かう可能性が見えていない以上、今後も向き合わざるを得ない原発/放射能の問題は、イデオロギーがどうとかといった人目の問題から離れて……もっとドメスティックな悩みの一つとして……たとえば無職とかひきこもりとかロリコンとかオナニーとかそういった定番ネタと同列にフランクに扱うサークルがいっぱい出てきてもいいんじゃないか、とも思ったり。「原子炉漏らすな/股濡らせ」(by《サークル丙》)のスピリットで。
  • ところでクロネココミケと違って、Mサイズダンボール(250円)を、底をテープで貼ったすぐ詰め込めますバージョンじゃなく、紙板状態で渡された。サービスわるいのぅ。でも、とても身軽になれたのでそこは有り難い。後半に入っても両手がひきつれそうにならないティアを久しぶりに堪能できた。
  • 今日の基本ルートは「か」「き」→「あ」→「な」「に」→「A」→「B」→「ち」〜「ま」→「C」〜「N」→「い」〜「た」→「O」〜「Z」。最後に回した「O」〜「Z」のイラストジャンルは、結局、事前チェックしていた分がほとんどで新規は開拓できず。ただここ数年は、少年マンガジャンルと同じくらいかそれを超えるサークル数に迫ってきており、作家の技術レベルの底上げがものすごいジャンルなので、(ちょっといいかも……)なサークルの本を手当たりしだい買っていたら種銭がいくらあっても足りやしない。新刊やサークル参加のペースはスローでも、本の単価は相対的に高いし。でも、やっぱり読みたいしで、イラストジャンルとの付き合い方をどうするかは今後も課題。
  • 《難病中学生》、ひさびさに買ったなぁ。あと、《バラキ》ね、今回はやっぱり。新刊は2冊。アフタの担当がついたそうなので、もしかしたらそのうち誌面で「灰色街道」や「八分」のような作品が読める?
  • 4サークル分のスペースを使った古代エジプトの服飾を紹介するサークル《StudioKODAI》が異彩、というか独特の空間を生み出していた。1体15センチくらいある立体ペーパーの人形が10体以上ずらっと。写真に撮りたかったけれど、机の向こうに誰もいなかったので諦めた。というか、その後もずっと誰もいなかったような。
  • 何年か前に買って気に入っていたものの、奥付が一切なく足取りがつかめなかったサークルの名前が《エンジ》だと分かった。
  • 毎回寄せてもらっているサークルが写真のような蛇腹マンガにチャレンジしていた。工作ギミックを持った、仕掛け型マンガのムーブメントが《薬缶猫》やクラフト系のサークルあたりとの連動部活動で流行ってくれると、面白そうだよなぁ。
  • 購入総額は4万1,010円。去年11月のティアに続いて4万円オーバー。次の8月も11月もその後もずっと2ホール開催ということなので、4万円前後が定着するとなるといいかげん家計バランスシートの健全性を意識しておくべき……。
  • こりゃおもしれー、だった新規購入サークルは《たこぶえ》《素路》《机上の空論》《残E-1p》《広く。》《脳髄炎》《炎色マッチ》《LOSTWOMEN》《ともよしおっさん》。《たこぶえ》は、リュウ掲載の読切で知ったふみふみこのサークル。《素路》の新刊「空だって飛べるのに」がことのほかよかった。