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kichi vs 92

    • 今、連載されているマンガの中で、もっとも毎号を楽しみにしている作品の一つが「キーチVS」。
    • 波羅蜜多’、そして闇社会の住人たちと組み、拉致した前総理・在日米軍司令官・経団連会長の姿を、テレビジャックで全国に放送、その電波にのせて、拉致してほしい奴がいたらオレたちに言え、拉致してやる、と追加声明を出したところまでが、前号。
    • 最新号からは、‘波羅蜜多’の拠点がある山梨の田舎を舞台に、‘キーチズ・カンパニー’を応援していた亡き妻の面影をひきずる警察官が、新たな登場人物として参加。上司からキーチシンパ部下の懐柔要請を受けた帰り、いつもの居酒屋で定食を頼むと、先客のオヤジたちの会話が聞こえてくる。
    • 「だとしたら 今度の犯行は」「あいつに何の 得があるんだ?」「染谷輝一は 国民を挑発して 国に喧嘩を売った」「ってところから俺 変な想像したの。」「もしも もしもだよ」「国側の力が とんでもなく 強くなってな、」「国民の生活なんか 考えず、国側が やりたい放題で 国民がひどい目に 遭った時に、」「デモやっても」「選挙やっても」「国側がビクとも しなかったら、」「国民が抵抗する 手段って」「暴力(テロ)以外に あるのか?」
    • ぽっと出の、飲み屋でクダを巻いているようなオヤジに、こんなセリフをしゃべらせるなんて、よく「キーチVS」と比較される「TWIM」の頃の新井だと、ちょっと考えにくい。とても、刺激的だ。
    • 「TWIM」の長いエピローグ部分(マリア射殺後)で端的に示されるように、新井は骨の髄までアメリカを嫌っている。ヒグマドンという餌にアメリカをしゃぶりつかせ、力こそ正義というアメリカの理念を鏡のように反射し唱えたモンの影が世界中に広がる中で、その影を世界のアメリカへの同意と勘違いし、核による一時的なヒグマドンの巨大化抑制に浮かれ、結局は、アメリカの正義=力=核によって自滅する。
    • 「TWIM」では、そのような長いエピローグ部分によって、ストーリーの最後になってアメリカへの思いを描ききった新井だが、「キーチVS」では、すでに在日米軍司令官を拉致、テレビでキーチシンパの子供たちにアメリカの手下でしかない日本の姿を分かりやすく解説させている。すでに、物語の中盤(それともまだ序盤でしかない?)で、対アメリカのストーリーに手をかけた。けれど、「TWIM」のヒグマドンのような切り札はない、今のところ。
    • ただ、キーチは、テレビを通じて、明確に呼びかけた。そこで子供たちを加えたし、拉致の際には、‘波羅蜜多’と闇社会の住人たちを引き連れた。「TWIM」のトシと違って、キーチの甲斐には人望がある。「TWIM」では割れた地球の姿とその後の生命誕生に真理がある、というまとめ方になった。あるいは、アメリカをつぶすには、地球を割る必要があると、当時の新井は考えた。「キーチVS」では、「暴力(テロ)」あるいは「暴力(テロ)以外」によるアメリカとの渡り合いがテーマの一つになってくる兆しが出てきた。
  • 鶴淵けんじ「meth・e・meth」1巻
    • 世界の隅でほとんど誰にも気づかれずに起きている、人知れずのボーイみーつガールは、いいものdeath。
  • 果向浩平「青血のハグルマ」5巻