電子書籍はじめたんですよ、電書。



densyo



9月の頭に日本版が出たファーウェイの「MediaPad X1」
これが

  • 6.5インチ以上〜8.0インチ未満 (可読性を犠牲にせず片手で両サイドを掴めるサイズ)
  • 1920×1080以上 (フルHD必須)
  • SDカードスロット (容量拡張必須)
  • SIMフリー (Wifiオンリーは除外)
  • バッテリー5,000mAh以上 (通常使用で10時間以上もつ)
  • 250g以下 (片手で持って疲れない)

という、「電書やるなら、これくらいの機能でないとな〜」と、ぐずぐず電書ライフ参入を引き延ばしてた自分のえり好みをクリアしてくれるブツだったため、勇んで池袋ビックで予約。正式発売前日にGET。
正確にいうと、JIS的な物差しをクリアできていなかったらしく、8月末の発売が1週間ほどずれ込んだ上でようやくGETできた(だから延期してなければ8/31のティアに持ち込むつもりでいた)。しかし、発売日の1週間前とかならともかく前日にネットだけで「延期するよテヘペロ♪」告知するのって企業姿勢的にどうなの?……。

ともあれ、利用予定のない通話機能付きのファブレットタイプ端末という、一部オーバースペックに余分なお金をかけたことを後悔することもなく、今のところそれなりに快適な電書ライフを送れています。

特に、サイズと重量。
狭ベゼルの7.0インチ=103.9×7.18×183.5ミリというサイズが、自分の手の平・指のサイズと絶妙にマッチした。これ以上大きいと収まりが悪くて取り落としの危険が増すし、逆に小さくても可読性を損なう。
重量は、マイクロSIMカードとマイクロSDカードを挿した状態でキッチンのTANITA製計量器で計ったところ、254g。ギリギリ許容範囲。電車の中でつり革につかまりながら読んでも、途中で持つ手の変更を要求されたりしない(もちろん、これよりもっと軽ければ軽いほどいいけれど)。

自分にとって理想に近い端末の登場が、電書元年の幕開けになった。


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で、購入から約2ヵ月半。ダウンロードした電書数、約400冊。
うち、99%は「honto」で。残りは「kindle」
理由は一つ。hontoのほうが「割安」だから。海外にサーバーを置いて国内消費税を転嫁してないkindleよりも安く買える(法改正で来年か再来年に転嫁されるようになるみたいだけど)。
ユーザーを囲い込むため、期間限定のポイント割増+割引クーポンを「それもう、期間限定じゃないよね?」ってくらい、しょっちゅうやっていて、割増+割引の結果、kindleよりも割安で買えるパターンが非常に多い。
10月にやってた、KADOKAWA系書籍半額セールの時も、表示価格のみで判断すると消費税を乗せてないkindleのほうが一見、お得なのだけれど、割増+割引を適用するとhontoのほうが安かった。
kindleも月替わりの半額セール等をやってたりするけど、そのラインナップに欲しい本が入っていることは稀で、だったら好きな本をチョイスして割増+割引できるhontoのほうがいい。
hontoのポイント割増は、最近、30%割増になるラインが購入総額2,000円以上から3,000円以上に引き上げられ、微妙に使い勝手が悪くなったりはしたものの、割引クーポンのほうは「雑誌30%OFF」「電書全品20%OFF」といったクーポンを今も当たり前に週2枚は送り付けられてくる。連休前とかごくたまに「全品半額」も。それで調子にのって買いすぎ、他の買い物とミックスされて次月のカード請求に恐れおののくことになったりする(10万円を超える請求を久々に受けた)。


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電書をはじめると、「やっぱ便利よね〜」と改めて気づく。

部屋が狭くならない

2ヵ月半で400冊のペースをこれからも維持したら1年で1,920冊。1箱50冊の段ボールに換算したら約38個。どんなに積み上げても2畳分くらいは占有する。これを気にしなくていいのは改めて大きいと思った。床が見える部屋バンザイ。掃除のたびに本の山を移動させなくていい部屋ブラボー。

紙の本を買うより安い→新たな出会い

発売からしばらく経っていたり、旧作を電書化したものだと、紙よりも2割から3割安いのは当たり前で、5割とかも普通にある。これにポイント、クーポンを組み合わせれば、紙の新品価格の1〜2割で買えてしまう。
新作はだいたい紙と同じか、それに近い値段なことが多いけれど、これも「紙でわざわざ買うのはちょっと躊躇うし、そこまで今読んでみたいとは思わないけど何となく気になる」といった本を「電書でちょっと安く買えるなら手を出してみようか」と、手に取らせるきっかけになるので、悪くはない。
「ニノ前しいの使い方」とか「あれよ星屑」とか「未知庵の三時のお水」とか「何もないけど空は青い」とか「東京カラス」とか「レモネードBOOKS」とか「妖怪少女モンスガ」とか「中卒労働者から始める高校生活」とか「ビッグオーダー」とか「クジラの子らは砂上に歌う」とか。電書をはじめていなければ、多分、読んでなかった。
ただ繰り返しなるけれど、それによって毎月の購入総額が増えるという財布にやさしくない結果ももたらす。

まとめ買いしやすい

電書をはじめて、最初に「これいいわ〜」と感じたことの一つ。別に買ってもいいんだけど、巻数が多くて「そのうち……」と二の足を踏んでいた本を読むきっかけになる。
具体的には「漫画版 神聖喜劇」全6巻とか「西遊妖猿伝 西域篇」全10巻とか「ねじまきカギュー」全16巻とか「イムリ」16巻以下続巻とか。
そのほかに、「途中で買うの止めちゃったけど、結局どうなったんだっけ?」という、「オルフィーナSAGA」全8巻とか「仮面のメイドガイ」全15巻といったケース。
あるいは、紙で持ってるけれど、どの段ボールに入っているのか消息不明な「デイドリームネイション」全5巻とか「SUGAR」全8巻+「RIN」全4巻とか「機動旅団八福神」全10巻とか「RED」全19巻(村枝のほうの非新装版)の買い直し、といったことにも役立つ。
ストア側でも、単価の高くなるまとめ買いは狙い目らしく、セット製品用の割引クーポンがたまに送りつけられてくる。

雑誌の購入

これも結構でかい。アフタヌーンヤングマガジンサードITANの定期購入を早速、電書に移行した。買ったり買わなかったりだった別冊少年マガジンや、11月から電書版の配信がはじまったgood!アフタヌーンも定期買いに加えた。
それなりの重量があって、かさばる紙の雑誌を持ちあるく手間や、読切や新人賞を切り抜いてリサイクルの日に出す手間がなくなる。自分でも意外なほど、すんなり移行できた。アフタヌーンなんて、20年以上紙で買い続けていたのに。
ただ、これを他の雑誌にも広げるかというと、今のところ×。なぜなら「紙と同じ発売日に紙とほとんど違わない内容で発売される」雑誌が非常に少ない。電書版は1〜2週間遅れとか、この作品とあの記事は紙のみ、という雑誌がザラ。モーニング・ツーとかコミックハイ!とか漫画アクションとか電撃だいおうじとかゼロサムとか、そのあたり。
それに、そもそも電書をやってない雑誌のほうが大半。月刊少年アクションや月刊少年ガンガンといった分厚い本は、特に電書版のメリットが大きいと思うので、とっととはじめてほしい。
もう一つ付け加えると、雑誌の電書は、紙版が発売延期になっても通常通り発売される。10月分のアフタヌーンは、周知のとおりミギーフィギュアにアレな危険があると直前になって判明したため(おそらく早売り購入者か社内配布分利用者のクレームで)翌週に発売が延期になったけれど、電書のほうは25日の午前0時からダウンロードできた。

電書オンリーの本を読める

これは痛し痒し。たとえば、1巻がすごく好きだった「ラブフロムボーイ」の2巻。ようやく出るという報に小躍りも、売り上げ見通しの関係からか電書のみ。
いくら電書が便利とはいえ、電気がないと読めないようなデバイスに本当に欲しい本を丸投げしてしまうつもりは毛頭無くて、電書をはじめた今も、紙の本を買う量・額を大きく減らしたわけじゃない。減ってたとしても1割くらい。で、減った分を大きく上回る量・額の電書をダウンロードしてるので、総量・総額のラインは明らかに上昇している。
だから2巻が紙で出ていれば、そちらを買ってた。でも、読まずにいるよりは読めたほうがいい。救済措置としての電書。

移動時間を有効活用できる

電車の移動時間に、行きはコレ、帰りはアレ、地下鉄ではソレ、JRではコチラ、といったふうに、その時の気分で一番読みたい本をサッと用意できる。紙だと、せいぜい3〜4冊が限界。空き時間でコンスタントに読書が進むので、結果的に積読になる本の量も減らせる。「そのうち買おう」という躊躇いだけじゃなく「そのうち読もう」という悪癖も電書は取り払いやすくしてくれてる。


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もちろん、悪い点だってある。というか、言い出すとキリがない。なので簡潔に。

欲しい本がない(のに別のストアにはある)

電書をはじめて、一番イラつかされるのが、このケース。たとえば「銀のニーナ」の5巻は、kindleには発売からすぐに入荷されたのに、hontoには1ヶ月以上経っても入荷される気配なし。「野村24時」もいつまで経っても2、3巻が入荷されない。「メイドインアビス」は1、2巻とも入る兆しなし。
「なら、kindleで買えばいいじゃん?」って言われても……1〜4巻をすでにhontoで買ってるのに、5巻からはkindleでって、キモチ悪いじゃない?
やっぱり品揃えのスピードは、kindleが他のストアを大きく引き離していると感じざるを得ない。
あとエロ。hontoはエロの取り扱いが異常に弱い。BLはそこそこなのに。メガストア快楽天beastも売ってない(kindleではアリ)。単行本もせいぜいがコンビニ売りの中綴じ系レベル。

見開きがかなり台無し

たとえば、ダイナミックな構図が信条の「ねじまきカギュー」。90度回転させての見開き表示だと、当然、絵のサイズは半分。じゃあ14インチの端末を使うか? そんなデカブツ、持ち歩いていられない。「これだから電書は使えない」という反論を受ければ「そうですね〜」としか言いようがない。

文字化け

龍ヶ嬢七々々の埋蔵金」の1〜3巻で、セリフの最後にところどころ「■」がついてるのは、(多分、ハートマークとか!!が変換しきれてないんだなぁ)とか。フォントのサイズ、種類、行間・字間、バックの明度・彩度は、自分が想像していたよりは調整しやすく、(テキストベースの電書も全然いけるじゃん)と思ってた自分に、地味なショックを与えた。

保存容量が足りない

「MediaPad X1」のもっともイマイチな点が、32GBまでのマイクロSDにしか公式対応してないこと。1万円超がデフォルトの128GBを玉砕覚悟で試すまでの踏ん切りはまだつかない。それに、運よく128GBに対応していたとしても、今の調子でダウンロードし続ければ、1年経たずに上限に達する。そうそう読み返さないといえばそうだし、デスクトップPCリーダーで読む方法もあるとはいえ、端末に入ってる・すぐ読めるという心地よさは捨てがたく、削除できないまま空き容量のバーが縮んでいく……。

アプリがトラブルと読めない

いや、自分は特に問題ないよ?とヒトゴトだった「読めない」「ダウンロードできない」「消える」がとうとう自分の身にも。
再起動、ログインログアウトではどうにもならず、最終手段の再インスト。30GB近い400冊のデータをイチからダウンロードしなおすことになると、さすがにきつかった。

いつまで読めるのか

今の電書ライフと直接の関係はないけど、頭の片隅に常にある問題。
大手印刷会社と大手書籍チェーンが主力資本のhontoも、アマゾンという巨大ネット販売サイトが母体のkindleも、逝くときはあっけないかもしれない。
将来、新しい別のOSが一般的になれば、アンドロイド版の電書データを読める端末を探すのにも一苦労だろう。
だから、繰り返しになるが、本当に欲しい本は、やっぱり紙。もしくは紙と電書のダブル買い。紙の裏表紙に、電書版を80〜90%引きで買えるクーポンとかつけてくれると、非常にうれしいかも(期間限定無料クーポンとかみみっちいのはいらない)。




そういうわけで「やっぱり紙、大好きです」という結論でした。